【防水工事で火災保険を活用】雨漏り修理での適応条件や申請のコツは?


所有する物件の雨漏り修理を検討しているが、「防水工事は大きな出費なので火災保険で少しでも費用を抑えたい」と考えている大家さんも多いはず。

しかし、火災保険を使うには保険会社に雨漏りの原因が、自然災害の「風災、雹災(ひょうさい)、雪災」のいずれかに該当すると認定してもらう必要があります。

そのため申請には、保険金請求書・事故状況報告書・破損箇所の写真・工事の見積書などの提出が必須です。

この記事でわかること●「風災・雹歳・雪災」認定に向けた保険申請のコツと注意点
●火災保険料をもらいやすいケースと難しいケース
●火災保険を利用した工事でありがちな業者トラブル
●失敗しない防水業者選びのポイント

この記事では、「風災・雹災・雪災」認定に向けた火災保険申請のコツと注意点などについて解説しています。

「火災保険で防水工事をするつもりがダメだった・・」そんな事態をさけるために、この記事を読んで火災保険で防水工事をするための事前準備をしましょう。

【知らないと損】防水工事でも火災保険が使えるって本当?


火災保険は火災の時に使うモノじゃないの?」と思っている大家さんも多いようですが、火災保険は防水工事でも使える便利な保険です。

まず最初に、火災保険の「補償内容」と防水工事で火災保険を使う場合の「具体的な被害」についてご紹介させていただきます。

火災保険の補償内容とは?


火災保険は、火災以外にも様々な自然災害を補償しています。

その保証内容は、「火災、風災、雹(ひょう)災、雪災、水災、落雷、爆発」となっています。

対象となる災害 内容
火災 ご自宅の火災と近隣からの延焼も補償
風災 暴風・強風による被害と風による飛来物の損害も補償
雹(ひょう)災 雹による被害を補償
雪災 積雪・雪崩(なだれ)などの被害を補償
水災 洪水や豪雨による床上浸水、土砂崩れの被害を補償
落雷 落雷による火災や被害を補償
破裂・爆発 ガス漏れによる爆発や火災の被害を補償

この中でも特に、雨漏りと関係があるのは「風災」「雹災」「雪災」なので、これらに該当すれば、防水工事で火災保険を活用することができます。

また、雨漏りで「家財」に被害がでれば、これも補償対象になります。

しかし、すべての火災保険が上記の保証をしているわけではございません。

火災保険の種類によって対象となる災害の補償範囲が違ってくるので、ご自身の火災保険はどこまで保証してくれるのかを事前に確認してください。

ワンポイント!雨漏りは「水災」ではないの?
雨漏りの被害は「水災」だと感じている大家さんも多いかもしれませんが、水災は洪水や豪雨による床上浸水や土砂崩れの被害を補償するものなので、雨漏りは水災ではありません。

防水工事で火災保険が使える3つの具体例とは?


防水工事で火災保険を使うケースは「風災」による被害がほとんどで、その中でも多いのが次の3つの被害です。

・暴風による飛来物で防水層が破損する
・暴風による飛来物で外壁や雨樋が破損する
・暴風による影響で笠木や手摺が破損する

それぞれの被害について詳しくご紹介します。

【火災保険が使える具体例1】暴風による飛来物で防水層が破損

台風などの暴風では、屋根瓦や看板などが飛ばされることがあります。

また、それらがマンション屋上の防水層に落下すると、防水層に穴や傷が生じ、雨漏りの原因となります。

このような場合は「風災」に該当し、火災保険を活用することができます。

【火災保険が使える具体例2】暴風による飛来物で外壁や雨樋が破損する

こちらのケースも、暴風で飛ばされた屋根瓦や看板などがマンションの外壁・雨樋を破損させ、雨漏りの原因となります。

特に雨樋は暴風によって破損しやすく「風災」認定も受けやすいことから、火災保険が活用しやすくなっています。

【火災保険が使える具体例3】暴風による影響で笠木や手摺が破損する

笠木は、屋上のパラペットやベランダ部分に設けられる、手摺壁の最上部に被せられた金属製などのカバーです。

こられが、暴風の影響でめくれたり、破損することで雨漏りの原因になります。

笠木や手摺の破損も「風災」に該当するため、火災保険を活用することができます。

【知らないと損】火災保険を使うための申請のコツと注意点


防水工事で火災保険を使うためには、保険会社に被害の申請をする必要があります。

その際に、「被害の原因が台風などの自然災害に当たる」と認定してもらわないと、火災保険を活用することはでません。

そのための「火災保険の申請のコツや注意点」をまとめたので、ご参考にしてください。

【申請のコツ1】災害にあってから3年以内に申請すること

火災保険の申請には有効期限があり、保険法によって被害にあってから3年以内に申請しないと時効によって権利が消滅します。

保険法 第95条
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。

引用元:保険法|e-Gov法令検索

「被害にあったらすぐに申請しないとダメなの?」と心配される方もいるかもしれませんが、風災などの被害を受けてから、3年以内に申請すれば大丈夫なので安心してください。

しかし、この保険法とは別に保険会社が独自に申請期限を決めているケースもあるので、まだ確認されていない方は加入されている保険会社に問い合わせてください。

特例措置もある

2011年に発生した東日本大震災では、大規模な被害が発生したため、災害から3年以上経過した場合でも、保険の申請を受けて付けています。

東日本大震災では、被害が大きかった地域は調査することなく、すべての建物を全損扱いにする特例措置が取られました。

今後も大規模な地震などの自然災害が起こった際に、同じような措置が取られる可能性は十分にあります。

注意!但し、地震で発生した被害は「地震保険で補償される」ため、火災保険とセットで地震保険へ加入していることが条件になります。

【申請のコツ2】自然災害を証明する写真を準備する


火災保険を活用した防水工事を行う場合、雨漏りの原因が「風災・雹災・雪災」などの自然災害に当たると保険会社に認定してもらう必要があります。

そのためには、自然災害であることを証明する写真を準備することが大切なので、保険を使った防水工事に慣れている業者に相談することをおすすめします。

この写真が準備できない場合、火災保険を活用することはできません。

火災保険は自分で申請する必要がある(代理申請はNG)


火災保険は必ず保険加入者ご本人が申請する必要があり、第三者が代理で申請することはできません。

もし、「火災保険の申請はすべて代行します!」という業者がいたら注意が必要です。

「火災保険を活用して防水工事ができる」というメリットを悪用する業者も中にはいるので・・。

繰り返しになりますが、火災保険の代理申請は認められていません。

【要注意】火災保険の適用が受けられない3つのケースとは?


では次に、火災保険の適用が受けられないケースをご紹介します。

もし、ご自身の物件が以下の3つのケースに該当する場合、火災保険の適用が受けられません。

【適用外のケース1】経年劣化が原因

自然災害とは関係なく、建物の経年劣化が原因で雨漏りが発生した場合には、火災保険が使えません。

このケースでは、劣化が著しく進んでいる物件の場合だと、災害による被害でも保険会社の調査で経年劣化と判断されることもあります。

そのため、日々の適切なメンテナンスはしっかり実施するようにしてください。

【適用外のケース2】初期不良がある

初期不良とは、自然災害ではなく人的なミスや施工不良が疑われるケースです。

この場合、火災保険は使えませんが、新築から10年以内に雨漏りが発生した場合は、家を建てた建設会社に雨漏りを修理してもらえます。

これは、法律によって建設会社に「10年間の瑕疵保証責任」が義務付けられているためで、施工会社がすでに倒産していても、住宅瑕疵担保責任保険で修理することが可能です。

新築住宅を供給する事業者には、住宅のお引き渡しから10年間の瑕疵保証責任が義務付けられています。

引用元:住宅瑕疵担保責任保険協会

【適応外のケース3】リフォームの不備がある

マンションやビルの屋上にソーラーパネルを設置したり、何らかのメンテナンスやリフォームが雨漏りの原因になることがあります。

この場合も、自然災害とは関係なく人的ミスが原因になるため、火災保険は使えません。

ただし、リフォームが原因の場合は「施工した業者に雨漏りの補修を依頼する」ことは可能です。

火災保険で防水工事の費用はいくらもらえる?


「風災・雹災・雪災」などの自然災害と認定された場合、火災保険の保険料はいくらもらえるのか気になっている大家さんも多いはず。

実は、加入している保険は「損害額20万円以上タイプ」と「免責タイプ」の2つに分かれます。

このタイプによって、保険金がもらえないケースもあるので、ご自身の火災保険はどのタイプになるのかチェックしてみてください。

損害額20万円以上タイプ

一般的な火災保険は「損害額20万円以上タイプ」になります。

このタイプの保険は、修理費用が20万円以上にならないと保険金を受け取ることができません。

例えば、
A:修理費用19万のケースだと保険金額0円
B:修理費用25万のケースだと保険金額25万円

このように、修理費用が20万円を超えると申請した保険金がもらえます。

よく勘違いされるのが「20万円を超えた分だけもらえる」、Bの例で言うと5万円だけもらえると思っている方がいらっしゃいます。

しかし、それは間違いで25万円の修理費用がある場合は、25万円全額を受け取ることができます。

免責タイプ

もう一つが「免責タイプ」で、事前に自己負担額を設定します。

例えば、5万円を免責額として決めた場合、

A:修理費用が4万のケースだと保険金額が0円
B:修理費用が10万のケースだと保険金額が5万円

このように、設定した自己負担額(免責)を超えた分だけ保険金を受け取ることができます。

保険金はいつもらえる?

保険金は、保険会社(鑑定人)による現地調査完了後2週間~1ヶ月程度でご指定の口座に振り込まれます。

ワンポイント!損害額が少額の場合や明らかに自然災害が原因と認められる場合は、鑑定人による現地調査を行わないこともあります。

保険金請求したら保険料は上がる?

火災保険を使って保険金を請求した場合「翌年から保険料が上がるのでは?」と思っている大家さんもいらっしゃいますが、車の保険と違って保険料が上がることはありません。

火災保険に加入している期間に、何度保険金を請求しても保険料は上がらないので自然災害を受けた場合は、その都度保険金を請求しましょう。

保険金をもらったら必ず工事しないとダメ?

火災保険で受け取った保険金の使い道は自由なので、絶対に工事をする必要はありませんし、その保険金を貯金しても大丈夫です。

しかし、雨漏りしている場合は急いで工事する必要があるため、保険金を使うことになると思いますが、緊急を要しない場合は無理に工事をする必要はありません。

何となく気が引けるかもしれませんが、どうしても気になる方は保険会社に直接訪ねてみてくださいね。

保険金に税金はかかるの?

個人で火災保険を受け取る場合の保険金は基本的には非課税です。

これは火災保険はそもそも損害の補填が目的なので、利益は出ないという考え方に基づいています。

【必見】防水工事に使える火災保険の申請手順と必要書類とは


火災保険を防水工事で使うには「どんな手続きをすればいいのか分からない・・」という大家さんも多いのではないでしょうか。

そこで、次に火災保険の申請手順と申請に必要な書類についてご紹介いたします。

火災保険の申請手順と必要書類


火災保険の申請手順は大きく6つあります。

1、 防水工事の見積りと写真を依頼する
2、 保険会社に被害の報告をする
3、 保険会社へ保険金の申請をする
4、 保険会社による現地調査の実施
5、 認定されると保険金が振り込まれる
6、 防水工事をする

それぞれの内容を詳しくご紹介いたします。

防水工事の見積もりと写真を依頼する

防水工事の見積りと、自然災害であることを証明する写真を業者さんに揃えてもらう必要があるため、業者さんには火災保険を使って工事を行いたい旨を事前に伝えるようにしましょう。

火災保険を使った防水工事の実績がある業者であれば話もスムーズに進みます。

保険会社に被害の報告をする

保険会社又は代理店に被害の内容を説明しますが、事前に防水業者に相談して報告書を作ってもらうといいですよ。

保険会社へ保険金の申請をする

保険会社に被害の報告をすると後日申請に必要な2つの書類が郵送で届くので、その書類と事前に防水業者に依頼した2つの資料を合わせて保険会社に提出します。

提出する具体的な資料は以下になります。

① 保険金請求書(保険会社から郵送で届く)
② 事故状況報告書(保険会社から郵送で届く)
③ 自然災害であることを証明する写真(防水業者に依頼)
④ 工事の見積書(防水業者に依頼)

保険申請のコツ!自然災害であることを証明する写真の準備が大切です。

保険会社による現地調査の実施

保険会社(鑑定人)による現地調査の実施を行う。

損害金額が少額な場合や明らかに自然災害と認められる場合は、現地調査を行わないケースもあります。

認定されると保険金が振り込まれる

認定されると2週間~1ヶ月後に保険金が振り込まれます。

防水工事をする

防水工事の契約は保険会社から保険金が支払われることを確認してからにしましょう。

ワンポイント!もし保険金の支払いが決まっていない段階で業者と契約をした場合、保険金が出なかった場合でも工事を中断できませんし、工事費用は全額自己負担になります。

防水工事で火災保険をもらいやすいケースと難しいケースとは?


「雨漏り修理に火災保険が使えるか?」気になっている大家さんのために、防水工事で火災保険が使いやすいケースと、難しいケースをご紹介します。

ただし、保険会社や物件の状況によって異なるのでその点はご注意ください。

火災保険の保険料をもらいやすいケース


防水工事で火災保険をもらいやすいケースは以下です。

・台風や暴風雨直後から雨漏りが始まった
・新築して3年~5年ぐらいなのに雨漏りがする

台風や暴風雨の直後に雨漏りが始まったケースでは、強風の影響で何らかの破損が起こった可能性が高く、風災の認定が受けやすいと思われます。

ただし、極端に劣化が進んでいるような物件の場合は、経年劣化と判断される可能性があります。

また3年~5年ぐらいの物件であれば経年劣化と判断するには早く、台風などの自然災害による破損の可能性が高くなります。

火災保険の保険料をもらいにくいケース


防水工事で火災保険の保険料をもらいにくいケースは以下です。

・10年以上メンテナンスをしていない
・新築1年以内に雨漏りが始まった

10年以上メンテナンスをしていない物件の場合、雨漏りの原因が経年劣化と判断されるケースが多くなるため、必要に応じて定期的なメンテナンスを行いましょう。

また新築1年未満の建物の場合、初期の施工不良が疑われるので火災保険を使うのは難しいかもしれません。

その場合、家を建てた建設会社に相談しましょう。

防水工事に使える火災保険の選び方と注意点


マンション、アパートの賃貸経営において「火災保険」はさまざまなリスクを保証してくれる強い味方です。

そんな火災保険選びに失敗しないための「ポイントと注意点」をご紹介いたします。

火災保険選びに失敗しない3つのポイント


火災保険を選ぶときには以下の3つのポイントを意識してください。

・保証対象
・保証範囲
・保険期間

それぞれのポイントについてご紹介させていただきます。

保証対象

火災保険は主に「建物」「家財」「建物+家財」の3つがあります。

通常は大家さんは自分の資産となる「建物」に加入して、入居者は居室内の「家財」に加入するのが一般的です。

建物の他にも、門や塀、物置、車庫などの建物の付属物も保証対象になりますが、建物と同じ敷地内にあるものに限ります。

保証範囲

火災保険は「火災」以外にも、台風や大雨による水害や風災、落雷などの自然災害などはもちろん、住戸からの漏水やガス爆発、盗難など、さまざまなリスクをカバーします。

ただし、地震による「火災」や津波による「水害」は保証対象外となるため注意が必要です。

地震による災害は、地震保険に加入していない限り保証対象になりません。

保険期間

火災保険の保険期間は1年から最長で10年です。

実は、以前は最長35年という長い期間を設定していましたが、近年の自然災害の頻発を受けて2015年に最長10年に変更されました。

保険料は1年単位で更新するより、長期間での一括払いの方が断然お安くなります。

賃貸物件は基本的に築年数が新しいほど高い家賃収入を得やすいため、最初に保険料を一括で支払っておくのもおすすめです。

ただし、将来的に売却を考えている場合、売却時期も想定して保険期間を決めましょう。

ワンポイント!火災保険料は、経費計上できますが、長期で一括支払いした場合はその年の分だけ経費計上します。初年度に支払った保険料全額を一括計上できません。

【コレで安心】大家さんにおすすめの3つのオプション特約


火災保険は保証範囲によって保険料は大きく変わります。

あまりお金をかけたくない場合は、「火災」「落雷」「破裂・爆発」「風災」「雹災」「雪災」のみ保証するプランがおすすめです。

しかし、満室経営ができている場合や多少高くてもしっかりとした保証を確保したい場合は、充実した保証プランがおすすめです。

保険会社ではさまざまなオプション特約を用意していますが、大家さんがよく加入している3つのオプション特約をご紹介させていただきます。

【安心特約1】施設賠償責任特約

所有する賃貸物件(マンション・アパート・ビル)の管理上の不備が原因で他人にケガを負わせたり、物を破損させることで発生した賠償責任を保証するための特約です。

例えば、

・外壁のタイルの落下で他人にケガを負わせたり、車などに損害を与えた
・水道配管の破裂によって、入居者の家財に損害を与えた

などがマンションやアパート経営では多いかもしれません。

【安心特約2】家主費用特約

所有する賃貸物件内で起きた孤独死や病死などの死亡事故に対する補償です。

死亡事故による空室期間や家賃の値引きによる損害、遺品整理や原状回復にかかる費用も保証対象です。

【安心特約3】家賃収入特約

火災や大雨の床上浸水などによって、家賃の収入がなくなった場合の保証です。

火災保険では建物は保証してくれますが、家賃は一切保証していないので、ローンの返済が難しくなるケースもあり、加入を検討される大家さんも多いようです。

ワンポイント!火災保険は地震による火災や津波による災害は保証対象外となるため、地震保険もセットで加入を検討しましょう。地震保険は単体では加入できないため火災保険とセットで加入する必要があります。

保険料は物件や地域によってさまざま


火災保険は、所有物件の構造級別や地域によって変わります。

構造種別で一番保険料が高いのがH構造の木造、次にT構造の鉄骨造、保険料が最も安いのがM構造のRC造になります。

構造区分 建物の種別 具体例 保険料
M構造 耐火建築物の共同住宅など 鉄筋コンクリート造のマンション ◎安い
T構造 耐火構造、鉄骨造の建物 鉄骨造のマンション 〇普通
H構造 M構造、T構造に該当しない建物 木造のアパート ×高い

構造級別とはなんですか?
建物の構造(柱・はり・外壁等)により、燃えにくさ等に差があるため、火災保険の保険料が異なります。建物の構造級別とは、構造を示す区分(M構造、T構造、H構造)で、以下の手順にしたがって判定します。

引用元:損保ジャパン

木造は火災のリスクが一番高いため保険料は高く、RC造は火災に強いため保険料は安くなります。

火災保険は定期的に見直すことも大切


「火災保険はよくわからない」という理由で、営業マンに勧められるままに加入している大家さんも多いかもしれません。

万が一に備えて、ご自身が加入されている火災保険は定期的に見直すようにしてください。

「この保証は絶対に外せない!」というラインを決め、必要な保証をプラスして、反対に不要な保証は削るなどして、物件に見合った保証を担保しましょう。

「火災保険」と「火災共済」の違い


火災保険と火災共済は一見すると同じ保険のように見えますが、実は運営母体や保証内容などに大きな違いがあり、まさに似て非なるものです。

火災保険と火災共済の違いを詳しくご紹介させていただきます。

火災保険 火災共済
運営母体 民間の保険会社 全労災・都道府県民共済・コープ共済・JA共済
加入対象 不特定多数の人 原則、各団体に加盟している組合員
割戻金制度 なし あり(共済金の支払いが少なく余剰金が出た場合)
風水害の保証 最大保険金額と同額の補償 保険金額とは別に上限金額がある場合がある
地震保険 火災保険金額の最大5割までの保険金額の設定が可能 各共済団体によって独自の地震保障の付帯が可能
保険プラン 多い 少ない
保障内容 充実プランから簡易プランまで保険メニューが豊富 簡易プランのみ
保険費用 保証プランによって違う 安い

火災保険は、民間の保険会社が運営母体なので保険プランも豊富で保証も充実していますが、その分費用も比較的高めになります。

火災共済は、非営利団体の全労災、都道府県民共済などが運営母体となるため、保険プランも保証も最低限の補償となりますが、費用面では圧倒的に安いのでその点はメリットです。

マンション・アパートの賃貸経営の大家さんの場合、火災共済では保障内容が十分とは言えないため、火災保険のほうが安心です。

【注意】火災保険に良くある業者とのトラブルとは?


突然の訪問や電話で「台風や地震による破損は、火災保険を使えば無料で直せますよ」と言葉たくみに勧誘する火災保険の申請代行業者や、リフォーム業者とのトラブルが増えています。

実際に消費者センターに寄せられたトラブル事例をご紹介いたします。

【真実】消費者センターに相談があった3つのトラブル事例


1、高額の解約料金を請求された体験談

昨年の冬、雪で屋根や壁が壊れた。修理を考えていたところ、申請代行業者から電話があり、「無料で見積もる」と言われたので自宅に来てもらった。申請代行業者から保険証書を見せるよう言われ、そのまま渡したところ「屋根と壁は雪害による損傷なので保険金が出る。その保険金を修理費用に充てればいい」と言われた。翌週、申請代行業者が見積書(修理費 650 万円)と同意書を持ってきた。保険金で修理ができるならと思い、同意書に署名・押印したが、控えも渡されず、そのまま回収されてしまった。 数日後、申請代行業者の指示どおりに保険金を請求したところ、保険金がおりたので申請代行業者に連絡したが工事を任せていいのか不安になったため、解約を申し出たら「クーリング・オフはできない。解約するなら受け取った保険金の 30%を払ってもらう。それができなければ裁判する」と言われた。契約内容の分かる書面が手元になく、クーリング・オフについて書かれていたかも覚えていない。どうすればいいか。
(2012 年 9 月受付 契約者:60 歳代 自営・自由業 女性 北海道)

国民生活センター 相談事例

2、高額の調査料金を請求された体験談

自宅に訪問した申請代行業者から「外壁を火災保険金で工事しないか」と勧められた。実際に外壁と物置が雪でへこんでいたので、契約することにした。申請代行業者が作った見積書には 300 万円と書かれていた。こんな高い金額になるとは思えなかったが、後日、保険会社から保険金 87 万円が支払われた。しかし、わざと高い見積額を出したのではないかと不安になったので、申請代行業者に工事を頼まないと言ったら、見積調査費として受け取った保険金の 30%を支払うよう言われた。見積調査費を取られるとは聞いていない。支払わなければならないか。
(2012 年 9 月受付 契約者:40 歳代 家事従事者 女性 北海道)

国民生活センター 相談事例

3、お金を払ったのに修理してもらえない体験談

申請代行業者から電話があり、「台風で壊れた屋根を保険金で修理しないか」と勧誘された。昨年の台風の影響で屋根が壊れたのか、雨漏りしていたので修理してもらおうと考え、申し込んだ。すると契約書類が届き、申請代行業者から依頼を受けたという調査員が訪問した。調査員が撮影した屋根の写真と見積書を保険金請求書に添付して保険会社に申請した。その際、保険金全額を申請代行業者の銀行口座に振り込むこと、修理は申請代行業者が指定した修理業者が行うという説明を受け、了承した。後日、申請代行業者から「代金を受領したので修理する」と連絡があり、予定日を告げられたが、台風の影響で延期になった。その後、具体的な修理日程を申請代行業者に何度も問い合わせたが分からないと言われ、いつまでたっても修理が行われない。信用できなくなったので解約したい。
(2012 年 6 月受付 契約者:70 歳代 無職 男性 静岡県)

国民生活センター 相談事例

1と2の事例は、途中解約によって高額の料金を請求された事例です。

名目は「解約料」「違約金」「見積調査費」など業者によって様々ですが、一切の工事を行わず、保険金の30%~50%という高額な料金を請求する点は共通しています。

また、3の事例では修理代金を全額先払いしたにもかかわらず、一切の工事をしてもらえないという信じられないケースです。

このような悪徳業者の手口に多い共通点は大きく3つ。

・途中解約すると高額の料金を請求する
・工事をする前に修理費全額を前払いさせる
・書面(契約書等)の交付がされていなかったり不備がある

もう少し詳しくご説明いたします。

途中解約すると高額の料金を請求する

業者と取り交わした書面(契約書等)に「途中解約した場合、保険金の30%~50%の支払いが発生する」というような内容が記載されています。

しかし、途中解約について口頭での説明がなかったり、文字が小さく書かれており注意しないと見落とすケースも多いようです。

工事をする前に修理費全額を前払いさせる

修理代金を工事する前に全額前払いを要求する業者はかなり怪しいです。

特に高額の工事費用を前払いすることは、かなりのリスクになるので気を付けてください。

書面(契約書等)の発行がされていなかったり不備がある

訪問販売や電話勧誘販売で修理などの工事契約をした場合、特定商取引法で義務付けられている契約書などの書面の発行が必要です。

訪問販売とは
事業者が消費者の自宅に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引の事。キャッチセールス、アポイントメントセールスを含みます。

引用元:特定商取引法ガイド|訪問販売

また、書面の発行はされていても必要事項の記載がないなどの不備があるケースも見られます。

例えば「クーリング・オフに関する事項」は必ず赤字で記載し、赤枠で囲む形式で記載する必要がありますが、その記載がない場合もあります。

書面の内容
契約書面・申込書面に書かなければならない事項は、法律で細かく定められています。販売員としては、書面の記入欄に、もれなく正確に記入することも重要となります。

引用元:日本訪問販売協会

【知らないと損】悪徳業者を見抜く4つのポイント


「火災保険を使えば無料で修理できますよ」など、言葉巧みに契約を迫ってくる悪徳業者に騙されないためにも、悪徳業者を見抜くポイントをご紹介させていただきます。

【ポイント1】「火災保険は100%出る」という業者

「火災保険を申請すれば100%お金がもらえる」という根拠のない嘘を言う業者は要注意です。

火災保険を申請しても、保険会社の判断で災害として認定されなけらば、保険金は1円も出ません。

つまり、火災保険は台風や洪水などの自然災害による被害を保証するものであって、経年劣化や人為的ミスによる損害は補償対象外になっています。

そのため、保険会社の調査で「経年劣化」と判断された場合、保険金は出ません。

【ポイント2】契約書などの書面を発行しない業者

訪問販売や電話勧誘によってご自身の自宅などで工事契約をした場合、必ず契約書などの書面を発行することが法律で定められています。

その書面には、工事内容の詳細な記載や工事金額、契約の解除やクーリング・オフに関する事項などの記載が定められています。

もし、書面の発行がなかったり、内容が不十分だった場合はいつまでもクーリング・オフができるとされています。

クーリング・オフとは
クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。

引用元:国民生活センター|クーリング・オフ

修理代金を全額前払いさせる業者

「修理代金を全額前金で払ってください」という業者とは絶対に契約してはいけません。

高い確率で悪徳業者の可能性があります。

もちろんすべての業者が悪徳業者というわけではありませんが、一般的に前払い金を要求されたとしても工事費の30%ぐらいが妥当なので、間違っても全額前払いは避けてください。

もし悪徳業者に全額前金で支払った場合、工事をしないで連絡が取れなくなるケースか、適当な工事をする確率が高いですし、工事内容に不備があっても対応してくれないでしょう。

申請が通る前に契約させる業者

火災保険の申請は100%ではないため、申請しても保険金がもらえない場合もあります。

そのため、火災保険の申請が通る前に工事業者と契約してしまうと、保険金が出なかった場合、全額自己負担になってしまいます。

いくら工事業者が「100%申請は通るから安心してください」と言っても信用してはいけません。

工事代金を払いたくないので契約の解除を申し出た場合、解約金として法外なお金を要求してくるかもしれませんし、悪徳業者は最初からそれを狙っていたのかもしれません。

必ず火災保険の申請が通って、保険金がもらえることを確認してから契約してください。

【火災保険で防水工事をする】失敗しない業者の選び方とは?


火災保険で防水工事をする場合の業者選びのポイント、注意点をご紹介させていただきます。

先ほどご紹介させていただきました「悪徳業者を見抜く4つのポイント」の内容と合わせて参考にしてください。

【業者選びのポイント1】火災保険を使った防水工事の実績がある


火災保険の申請には、自然災害を証明する写真や被害を受けた現状の報告書の提出などが必要になるので、火災保険を使った防水工事の実績がある業者さんのほうが何かとスムーズです。

もちろん、火災保険の経験がない業者さんでも良心的な業者さんは多いので、絶対条件ではありません。

良心的な業者さんであれば、火災保険を使った防水工事を考えていることをお話しするとしっかり対応してくれるはずです。

【業者選びのポイント2】防水工事の経験が豊富


防水工事の経験や実績が豊富な業者さんがいいに決まっていますよね。

これは防水工事に限らず何の工事でも同じだと思いますが、施工実績が豊富にあって地元で長年営業されているような業者さんであれば安心です。

【業者選びのポイント3】雨漏りの修理が得意


雨漏りの原因は様々なので、実績が豊富で雨漏り修理を得意としている業者さんの方が安心してお任せ出来ます。

こちらも過去の実績やどんな雨漏りを修理してきたのかを確認するといいですね。

【業者選びのポイント4】アフターフォローが万全


アフターフォローや保証がしっかりしている業者さんだと「雨漏りが止まらないなどの事態」にもしっかり対応してもらえるので心強いです。

防水工事の場合、陸屋根の全面改修を行った場合には、10年保証を付けるのが一般的で、保証期間に雨漏りなどがあった場合、保証対象内であれば無料で修理してもらえます。

【業者選びのポイント5】建設業の許可証を持っている?


防水工事の請負工事をする事業者は、1件の請負代金が500万円以上の工事を行う場合には、建設業許可証を取得する必要があります。

これは、手抜き工事を防ぐためには、適正な施工業者を選ぶ基準が必要ですが、その一つの目安として「建設業の許可証」を持っているかは参考になります。

実は、公共工事の入札にもこの許可証が必要なんです。

もちろん、500万円以下の一般の工事であれば必要ないので、すべての防水工事業者がこの許可証を取得しているわけではありません。

取得していなくても良い業者さんはたくさんいますので、その点は安心してください。

防水工事の場合は、ほとんどの工事が500万円以下となるため、許可証を取得していない業者さんも多いようです。

許可証を持っている場合、その許可番号を下記のサイトで照会すれば、本当に許可された業者さんなのかを確認することができます。

参考元:国土交通省|建設業者・宅建業者等起業情報検索システム

地震保険も必須になってきた!


地震保険は、火災保険とセットで加入しないと入ることができない保険で、地震保険単体での加入はできません。

地震保険は単独での加入はできません。
火災保険にセットいただく必要があります。

引用元:損保ジャパン|地震保険

近年大きな地震が日本各地で起こっているため、地震保険の加入を検討される大家さんも増えています。

地震保険の適用範囲


地震保険は、「地震や津波、火山噴火」などの自然災害が原因となる建物や家財を保証する保険です。

火災保険は、地震による火災や水災による建物への被害は保証対象外となるため、マンション・アパート経営には地震保険はできれば入っておきたい保険です。

地震保険はいくらもらえる?


地震保険の保険金額は火災保険とは別に、火災保険金額の30%~50%までの範囲で設定可能です。

ただし上限が決められており、建物は5000万、家財は1000万までとなります。

具体的な保険金の支払いは、2017年1月1日以降の契約より、全損は保険金額の100%、大半損は60%、小半損は30%、一部損は5%の割合で支払われます。

2017年1月1日以降の契約

改定後(4区分)

損害の程度 支払い保険金
全損 地震保険金額の100%(時価が限度)
大半損 地震保険金額の 60%(時価が限度
小半損 地震保険金額の 30%(時価が限度)
一部損 地震保険金額の 5%(時価が限度)

2017年1月1日以前の契約

改定前(3区分)

損害の程度 支払い保険金
全損 地震保険金額の100%(時価が限度)
半損 地震保険金額の 50%(時価が限度)
一部損 地震保険金額の 5%(時価が限度)
ワンポイント!地震保険は、国と保険会社の共同運営の保険なので、どの保険会社で加入しても保険金・保証内容は同じです。

地震保険の契約期間は?


地震保険の契約期間は、最長5年となっていますが、火災保険の保険期間が10年の場合には、5年又は1年ごとの自動継続になります。

防水工事の火災保険についてのQ&A

防水工事の火災保険についてのQ&Aをご紹介します。

経年劣化による雨漏りでも火災保険は使えますか?

自然災害とは関係なく、単なる経年劣化による雨漏りの場合には火災保険は使えません。

防水工事をしてから10年以上経過している場合には経年劣化と判断される可能性が高くなります。

屋上防水で火災保険が使えるケースは?

台風などの強風によって屋上防水のシートが剥がれたり、飛来した障害物によって防水層に穴が開いた場合には火災保険が適応されます。

ただし、すでに10年以上経過している場合には経年劣化の可能性もあるので保険適応されないケースもあります。

まとめ

火災保険を使って防水工事をする場合には、保険会社に雨漏りの原因が「風災・雹災・雪災」などによる自然災害だと認定してもらえるかがポイントでしたね。

そのため、所有する物件の雨漏りは、台風や強風などの自然災害が原因なのか、それとも経年劣化や施工不良などが原因なのかを見極めることが大切です。

この記事では「火災保険の申請のコツと注意点」さらに「保険料をもらいやすいケースともらいにくいケース」などをまとめたので、ご自身の物件は火災保険を使えるのかチェックしてみてください。

また、火災保険を使って防水工事を実施する場合、火災保険によくあるトラブルや失敗しない業者選びを参考に、良心的な業者さんを探してください。

当サイトでは、地域別に防水工事の専門業者をまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。

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