「防水工事の単価と費用相場が知りたい!」という大家さんも多いかも知れません。
というのも、防水工事には様々な種類や工法があって、単価や費用相場もバラバラなので非常に分かりにくくなっています。
そこで、この記事では「工法別の単価と費用相場」、さらに「防水工事を安くするコツ」や「優良業者の見分け方」についてもご紹介します。
・防水工事を安くする見積もりのコツ
・優良業者の見分け方
防水工事の単価や相場費用を知ることで見積もり交渉も優位に進めることができるので、この記事を読んでチェックしてください。
【工法別】防水工事の単価と費用相場を今すぐチェック
防水工事には様々な種類や工法があり、単価や費用相場もバラバラです。
そのためそれぞれの種類や工法ごとに、単価と費用相場を分かりやすくまとめてご紹介しますのでご参考にしてください。
ウレタン防水の単価と費用相場
ウレタン防水には2種類の工法があります。
工法 | 単価(1㎡あたり) |
密着工法 | 4,000~6,000円 |
通気緩衝工法 | 6,000~8,000円 |
密着工法とは
密着工法は下地に補強布を張り、その上からウレタン防水材を塗っていく工法です。
架台や配管などが多い複雑な場所の施工も可能ですし、工期も短く値段もお手ごろです。
しかし、雨漏りしている場合には、「密着工法」だと表面が膨れてくる可能性があるため「通気緩衝工法」で施工しましょう。
通気緩衝工法とは
通気緩衝工法は下地に通気緩衝シートを張り、その上からウレタン防水材を塗っていく工法です。
「通気緩衝シート」をはることで、下地に残った湿気の通り道を作り脱気筒から外部に湿気を逃がします。
密着工法より値段は高くなりますが、耐用年数が10~15年と長くコスパの良い工法です。
ウレタン防水に必要なその他の単価
ウレタン防水に必要なその他の単価もご紹介します。
工事内容 | 単価 |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
下地処理 | 200円/㎡ |
下地補修 | 200~300円/㎡ |
改修用ドレン設置 | 15,000円/箇所 |
脱気筒設置 | 10,000~12,000円/箇所 |
発生材処分費 | 10,000~30,000円 |
管理費 | 10,000~30,000円 |
諸経費 | 10,000~30,000円 |
仮設足場※必要な場合のみ | 700~900円/㎡ |
シート防水の単価と費用相場
シート防水には2種類の工法があります。
工法 | 単価(1㎡あたり) |
密着工法 | 4,000~5,500円 |
通気緩衝工法 | 6,000~8,500円 |
密着工法とは
密着工法は下地に接着剤を塗布し、防水シートを張りつける工法です。
シートが下地前面に接着されるため、台風などの風の影響を受けにくく耐風圧性に優れています。
すでに雨漏りしている場合、「密着工法」だとシートに膨れが生じることがあるため「機械固定工法」で施工しましょう。
機械固定工法とは
機械固定工法は固定ディスクを用いて、防水シートを下地コンクリートに部分的に固定する工法です。
防水シートと下地が部分的に固定されるため、下地に残った湿気を脱気筒から外部に逃がすことが可能です。
下地の影響を受けにくく、改修工事でも下地処理が最低限で済むため工期の短縮をはかることができます。
ただし、シート防水は架台や配管設備の多い場所や複雑な形状での施工には不向きです。
シート防水に必要なその他の単価
シート防水に必要なその他の単価もご紹介します。
工事内容 | 単価 |
下地処理 | 200~600円/㎡ |
下地補修 | 2,000~3,000円/㎡ |
末端処理 | 2,000~3,000円/㎡ |
改修用ドレン設置 | 13,000~15,000円/箇所 |
脱気筒※機械固定工法のみ | 12,000~15,000円/箇所 |
発生材処分費 | 10,000~30,000円 |
現場経費 | 工事費用合計の10%ほど |
仮設足場※必要な場合のみ | 700~900円/㎡ |
アスファルト防水の単価と費用相場
アスファルト防水には3種類の工法があります。
工法 | 単価(1㎡あたり) |
熱工法 | 7,000~9,000円 |
トーチ工法 | 6,500~8,500円 |
冷工法 | 5,500~7,500円 |
熱工法とは
熱工法はアスファルトの塊を融解釜で220~270℃に溶解し、アスファルトルーフィングと呼ばれる防水シートを2~4枚貼りつけていく工法です。
防水工事の中でも100年以上の歴史と実績があり、寿命も20年以上と最も長く信頼性の高い工法です。
しかし、アスファルトを現場で溶解するためアスファルトの臭いや煙も出ますし、やけどや火災のリスクもあります。
そのため最近では環境に配慮した他の工法を選ぶケースが増えています。
トーチ工法とは
トーチ工法は両面にアスファルトをコーティングした防水シートを使い、トーチバーナーでそのアスファルトを炙り溶かして貼りつける工法です。
熱工法とは違ってアスファルトの塊を溶かす設備が不要で環境に配慮した工法です。
そのため改修工事では多くの現場で採用されています。
冷工法とは
冷工法は常温で貼りつけることができるアスファルトルーフィングを複数枚貼りつけていく工法です。
熱工法やトーチ工法のようにアスファルトを溶かす必要がないため、臭いや煙の発生も少ないのが特徴です。
アスファルト防水に必要なその他の単価
アスファルト防水に必要なその他の単価もご紹介します。
工事内容 | 単価 |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
下地処理 | 200~600円/㎡ |
下地補修 | 2,000~3,000円/㎡ |
改修用ドレン設置 | 13,000~15,000円/箇所 |
発生材処分費 | 10,000~30,000円 |
管理費 | 10,000~30,000円 |
諸経費 | 10,000~30,000円 |
仮設足場※必要な場合のみ | 700~900円/㎡ |
FRP防水の単価と費用相場
FRPの工法は1種類です。
工法 | 単価(1㎡あたり) |
FRP防水 | 6,000~8,000円 |
FRP防水は下地にFRPシートを敷き、その上からポリエステル樹脂を塗布して防水層を作る工法です。
FRPとは、「繊維強化プラスチック」の略称です。
プラスチックにガラス繊維や炭素繊維などを混ぜて強度を高めた複合材料のことです。
複雑な形状でも施工が可能で、圧倒的に硬化が早いため工期も短いのが特徴です。
そのためベランダなどはFRP防水が多く使われています。
また、貯水槽やプール、浴槽にも使用されており、水を漏らさない性能に優れています。
FRP防水に必要なその他の単価
FRP防水に必要なその他の単価もご紹介します。
工事内容 | 単価 |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
下地処理 | 200円/㎡ |
下地補修 | 200~300円/㎡ |
改修用ドレン設置 | 15,000円/箇所 |
発生材処分費 | 10,000~30,000円 |
管理費 | 10,000~30,000円 |
諸経費 | 10,000~30,000円 |
仮設足場※必要な場合のみ | 700~900円/㎡ |
防水工事で損しない見積もりのコツとは?
防水工事は高額な工事ですし、失敗すると雨漏りが発生して入居者に迷惑をかけたり、資産価値を大きく下げることになる可能性もあります。
そのため、「防水工事で損しない見積もりのコツ」を知ることでそのようなリスクをできる限り避けてください。
防水工事を安くする見積もりのコツ
防水工事を安くする見積もりのコツは3つあります。
最低3社以上から見積もりを取る
これは当たり前の話ですが、もし1社しか見積もりを取らなかったらその見積もりが高いのか安いのか判断できません。
そのため最低3社以上の防水工事業者から見積もりを取るようにしましょう。
防水工事の種類や工法は同じにする
例えばA業者は「ウレタン防水」、B業者は「シート防水」、C業者は「アスファルト防水」と防水工事の種類がバラバラでは比較できません。
もちろん、単純に値段の比較はできますが、防水工事は種類によって適正な値段が大きく変わります。
値段だけ見るとA業者の「ウレタン防水」が一番安くても、工事内容を考えた場合、B業者の「シート防水」の方がコスパに優れているかも知れません。
そのため、防水工事の種類を統一したうえで複数社から見積もりを取るようにしてください。
1社に決めて値引き交渉をする
値引き交渉のやり方はシンプルに「予算がこれしかないのでなんとか〇〇円でお願いできませんか?」と直球勝負が一番です。
1社に決めて値引き交渉するのもポイントで、「〇〇円でお願いできるならあなたの会社に決めますよ。」ということを相手に伝えた上で値引き交渉をすることで成功の確率が大きくアップします。
よほど無茶な値段でない限りは交渉に応じてくれると思います。
手抜き工事を見抜く見積もりのコツ
手抜き工事を見抜く見積もりのコツは3つあります。
「一式」と書かれた見積もりはダメ
見積もりには「工程」「数量」「単価」などが細かく記載されているか確認してください。
例えば、工程の種類として【高圧洗浄】【下地処理】【改修用ドレン設置】【平場 ウレタン防水 通気緩衝工法】などがあります。
それぞれの工程に、数量や単価が記載されていれば大丈夫です。
もし、「一式 〇〇円」としか記載されていない見積もりの場合は注意してください。
「極端に安い」見積もりはダメ
他社の平均が100万円なのに、1社だけ半額の50万円と極端に安い場合には特に注意が必要です。
防水工事は人件費の割合が高いため手抜き工事をして工期を大幅に短縮したり、材料をごまかして利益を出す可能性があります。
当たり前ですが、業者は赤字になる仕事はやらないので、何かを犠牲にしてでも利益を出そうとするはずです。
例えばウレタン防水には
1, 下塗り(プライマー)
2, 中塗り(主剤1回目)
3, 中塗り(主剤2回目)
4, 上塗り(トップコート)
の4工程が必要です。
しかし、上塗り(トップコート)が完成すると中塗りや下塗りが適正に行われているのかを確認することは出来ません。
ウレタン防水の膜厚は「3~4㎜程度」にするのが一般的で、最低でも2㎜以上は必要です。
もし、手抜き工事で十分な膜厚が確保されない場合、漏水の危険が高くなります。
「工法の記載がない」見積もりはダメ
「密着工法」や「通気緩衝工法」などの工法の記載を確認してください。
雨漏りしていない屋上やベランダは「密着工法」でも問題ありませんが、すでに雨漏りしている箇所の場合、「通気緩衝工法」で施工する必要があります。
というのも、雨漏りしている箇所には雨水が侵入しているため、密着工法だと水分の逃げ道がなく、防水層の膨れや破れの原因になるためです。
工法の記載がない場合には、業者に確認してください。
もし、雨漏りしているのに「密着工法」で施工するような業者の場合には注意が必要です。
知らないとヤバい!?優良業者の見分け方
多くの防水工事業者さんは真面目で良心的ですが、中には平気で手抜き工事をするような悪徳業者も残念ながら存在します。
そんな業者を避けるためにも優良業者を見分けるポイントをご紹介します。
優良業者を見分ける6つのポイント
優良業者を見分けるポイントは6つあります。
その1:防水工事を専門的にしている
防水工事を請け負っている会社には
・建設会社
・工務店
・塗装業者
・防水業者
と4つの業種があります。
この中で防水工事を専門的にしている会社は「防水業者」だけです。
特に建設会社と工務店は自社では防水工事をせず、下請けの防水工事業者に外注するケースがほとんどです。
また、塗装業者でも「ウレタン防水」は自社で行うが、専門的な知識が必要な塩ビシート防水は防水業者に外注することが多いようです。
防水工事の専門的な知識を持っている「防水工事業者」に工事を依頼するほうが何かと安心です。
その2:地元で長年営業し、施工実績も豊富
地元で長年営業していて、施工実績も豊富な業者さんであれば経験も豊富なので、どんな防水工事でも柔軟に対応してくれるはずです。
防水工事は高い買い物なので安心してお任せできる業者さんに依頼しましょう。
その3:「1級防水施工技能士」が在籍している
防水工事は職人の技量によって完成後の防水性能に大きな違いが生まれます。
未熟な職人が施工した場合、またすぐに雨漏りしたり、防水機能が長持ちせずに数年で防水工事のやり直しを迫られることになります。
そんな事態を避けるためにも、「1級防水施工技能士」が在籍している防水業者を選びましょう。
この資格は防水工事の【専門的な知識と技術】を習得した職人が在籍している証になるので、業者選びの際には必ず確認してください。
さらに1級と2級があり、1級は上級技術者、2級は中級技術者です。
そのため、例えば【ウレタン防水】を行う場合には、ウレタン防水の1級防水施工技能士の資格を持っている業者に依頼すると安心です。
その4:「10年保証付き」の防水工事が可能
防水工事の保証期間は最長10年です。
保証されるためには次の条件を満たす必要があります。
・建物の状況に応じた全面改修工事をすること
・材料メーカの規定通りの工法、工程を行うこと
・材料メーカーの規定通りの材料を使用すること
・保証書の発行が可能な施工業者であること
部分的な修理や材料メーカーの規定に沿わない工事は保証制度を受けることはできません。
その5:工事保険に加入している
工事保険に加入している防水業者の場合、防水工事中に何らかの理由で発生した事故に対しても十分な補償を受けることができます。
例えば、工事不良が原因でゲリラ豪雨によって入居者の家財や内装に損害を与えた場合、損害額は数百万円に及ぶケースがあります。
このような場合でも、工事保険に加入している業者さんであれば保証も十分にしてもらえるでしょう。
その6:アフターフォロー、メンテナンスが可能
防水工事が完成した後も定期的なメンテナンスや困りごとが起こった時のアフターフォローがしっかりしていれば安心です。
特に定期的なメンテナンスを行うことは重要です。
メンテナンスで防水層の不具合や異常を見つけることができれば、防水層を長持ちさせることができます。
防水工事の単価と費用相場についてのQ&A
防水工事の単価と費用相場についてのQ&Aをご紹介します。
防水層を長持ちさせるには何をすればいい?
ドレン(排水溝)にゴミや落ち葉などがたまると水が雨どいに流れにくくなり防水層の劣化原因になります。
そのため3ヶ月に1回くらいはゴミを取り除くことで防水層の寿命を延ばすことができます。
ウレタン防水のトップコートは5年に一度塗り替えた方がいいの?
ウレタン防水のトップコートは紫外線から防水層を守る役割があるため5年に一度の塗り替えがおすすめです。
まとめ
「防水工事の単価と費用相場」「防水工事を安くする見積もりのコツ」「優良業者の見分け方」をご紹介しました。
防水工事の単価と費用相場を知ることで見積もりを取る際に適正な費用相場になっているか確認することができます。
また、見積もりは必ず3社以上から取るようにしてくださいね。
当サイトでは、地域ごとに防水専門業者さんをまとめていますので、「都道府県ごとの業者一覧」もチェックしてみてください。
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