【防水工事の膨れ】原因と補修方法を解説!通気緩衝工法なら安心

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「屋上の防水層が膨れているけど大丈夫?」「放っておいても雨漏りしないかな・・」そんな悩みを持っている大家さんも多いかもしれません。

防水層に膨れがある場合、大きく2つの原因がありますが、状況によってはすぐに補修が必要になる場合もあります。

そのため、記事内でご紹介している防水層が膨れる原因をチェックして、ご自身の物件の状況は大丈夫かをチェックしてみてください。

この記事でわかること●ウレタン防水・シート防水が膨れる原因
●ウレタン・シート防水の膨れを補修する方法
●防水層の膨れを防止するには?
●雨漏りした場合の被害

この記事では、ウレタン防水やシート防水が膨れる原因と補修方法について解説しています。

防水層の膨れを放置した結果、気づいたときには雨漏りの被害が広がっていたら大変なので、この記事を読んで「防水層の膨れは補修するべきか」を確認していきましょう。

防水工事で膨れが出る原因


ウレタン防水やシート防水の膨れは、防水層の一部に空気が入ったように膨れている現象で、主に密着工法で起こる現象です。

密着工法は、防水層を下地に完全に密着させる工法で、工期も短く安価で施工できるメリットがありますが、下地躯体からの湿気を外に逃がすことができないため膨れが発生することがあります。

それでは、防水層が膨れる原因を詳しくご紹介します。

【膨れの原因1】下地躯体から水分がでてきた

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防水工事の改修を行う前から雨漏りしている場合や古い建物の場合、下地躯体に水分を多く含んでいることが考えられます。

そのため、太陽光などの熱で下地躯体の水分が蒸発し、湿気となって防水層の中で膨らむことが原因です。

防水層の膨れは、面積の広い屋上やルーフバルコニーなどに多く見られ、反対にベランダなどの狭い個所では発生しにくい傾向があります。

面積が広いほど下地躯体に含まれた水分量も多くなるため膨れが生じやすい状況にあります。

ワンポイント!密着工法は、防水層と下地躯体が完全に密着しているため、水分の逃げ道がありません。

膨れがあっても雨漏りはしない?

防水層に膨れがあってもすぐに雨漏りすることはありませんが、防水層が膨張や伸縮を繰り返すことにより劣化が進み破断することがあるため注意が必要です。

防水層の劣化によって破断した場合には、雨水が侵入し雨漏りが発生するため、膨れの現象が広範囲に見られる場合には防水業者に相談してみてください。

【膨れの原因2】防水層の破断で雨水が侵入している

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膨れている部分を手で触ったときに「ブヨブヨ」している場合には、すでに雨水が防水層に侵入している「水ぶくれ」状態になっています。

この場合には、防水層の破断で雨水が防水層に侵入しているため、雨漏りの危険が極めて高くなります。

防水層に亀裂や穴、シート端部や接合部の剥がれなど、いずれかの個所から雨水が侵入していると考えられるため、防水業者に現地調査を依頼しましょう。

防水層の膨れを補修する方法


防水層の膨れが気になる場合やすでに雨漏りしている場合には、補修することで防水機能を維持、復活することが可能です。

膨れの補修方法についてご紹介します。

【補修方法1】膨れた箇所のみ補修する

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防水層に膨れがある場合、補修方法は「部分補修」か「全面改修」の2つに分かれます。

膨れの範囲が狭く、ごく一部分だけであれば「膨れた箇所のみ補修する」部分補修でも防水機能を維持することができます。

しかし、防水層の一部分を補修しても後々破断するリスクもあるため、膨れの範囲が大きい場合は全面改修がおすすめです。

【補修方法2】全面改修する

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膨れの範囲が広範囲だったり、すでに雨漏りしている場合は、部分的な補修より全面改修した方が結果的にお得になるケースもあります。

特に前回の防水から10年以上経過している場合は、一部を補修してもまたすぐに他の部位で不具合が発生することも十分に考えられます。

全面改修する場合には、次にご紹介する「防水工事の膨れを防止するには?」をご参考にして検討してみてください。

防水工事の膨れを防ぐには「通気緩衝工法」がお勧め!


防水層の膨れを防止するには、下地躯体に残った水分を外に逃がすことが大切です。

水分を外に逃がすことができれば、防水層と下地が剥がれることも無く、膨れを抑えることができます。

では、具体的にどうすれば良いのかその方法をご紹介します。

通気緩衝工法がおすすめ

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防水層の膨れを防ぐには、通気緩衝工法がおすすめです。

通気緩衝工法は、防水層と下地躯体の間に空気層を設けて水蒸気を脱気塔を通じて外に逃がす工法です。

脱気塔は、筒状の部材で防水層内部の水蒸気を外に排出する役割をしています。

防水工事の改修で人気の通気緩衝工法は、次にご紹介する「ウレタン防水通気緩衝工法」塩ビシート機械固定工法」の2つになります。

ウレタン防水通気緩衝工法

ウレタン防水通気緩衝工法は、通気効果と緩衝効果を併せ持つシートの上にウレタン塗膜防水を塗り重ねる工法です。

下地躯体の水分量が多い場合でも、防水層の膨れを防ぎますし、建物の揺れによる下地の挙動も緩衝するため防水層の破断も起こりにくい特徴があります。

また、塗膜を塗り広げる工法なので、キュービクルが多数設置されていたり、空調の設備や配管などで入り組んだ複雑な建物でも施工が可能です。

さらに、費用も比較的安いので予算を抑えた改修工事を検討する場合には最適な工法です。

塩ビシート機械固定工法

塩ビシート機械固定工法は、シートを敷きつめた後に固定ディスクを用いて防水シートを下地躯体に固定する工法です。

機械固定工法は、乾燥工程が不要で工期が短縮できますし、シート自体に透湿性があり、下地躯体の湿気を外に放出します。

さらに、脱気塔を設置することで湿気排出の効果があがります。

そのため、ウレタン防水と同様に防水層の膨れを防ぐことが可能です。

ウレタン防水に比べると費用は高くなりますが、コストパフォーマンスは塩ビシート機械固定のほうが高いため、長期間防水機能を維持したい場合にはおすすめの工法です。

【ヤバイことになる】雨漏りした場合の被害


マンションの雨漏りは規模が大きいため、どの部位から雨水が侵入しているのか特定するのが難しい場合があります。

しかし、雨漏りをそのまま放置すると様々な不具合や建物の劣化を早めることになるため注意が必要です。

雨漏りした場合の被害を具体的にご紹介します。

天井や壁にシミができる

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屋上の防水層や外壁などが破損していると、雨水が侵入して天井や壁にシミが発生することがあります。

そのまま放っておくと、カビの発生による悪臭やアレルギーの誘発といった二次被害が起こる心配があります。

また、天井や壁にシミができる他の原因として「上階からの漏水」や「結露」があります。

上階からの漏水

上階の風呂場や洗濯機、キッチンなどの水回り設備や配管から水漏れが起こっていると、下の階の天井や壁に水がまわってシミになることがあります。

築年数の古いマンションの場合、水回り設備や配管の老朽化による破損などが起こりやすく、漏水の危険が高まります。

結露

結露は、室内と外気の温度差によって発生しますが、室内の空気中に含まれている水蒸気が、外気に冷やされることで水蒸気となって天井や壁に付着します。

特に室内と外気の気温差が大きい冬場に起こりやすく、天井や壁にシミが発生する場合があります。

また、天井裏に配管があるケースでは、そこで結露が発生して天井に水滴が付着することもあります。

家具や家電への被害


雨漏りがひどい場合には、入居者の家具や家電にも被害が与えることがあります。

水に濡れた電化製品は、電気が流れるとショートしたり、発火する危険があるためすぐにコンセントを抜くようにしましょう。

誤って触ってしまうと感電するケースもあるので注意が必要です。

コンクリート内部の鉄筋が錆びて耐久性が低下する


RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)では、鉄筋を使った構造にコンクリートを流し込んで作られています。

コンクリートがひび割れて雨水が侵入すると、雨水に含まれる酸によって鉄筋が錆びて腐食し、本来の耐震性や耐久性が低下することがあります。

爆裂によるコンクリートの破裂


雨水の侵入によってコンクリート内部の鉄筋が錆びると膨張し、コンクリートを破壊してしまいます。

この現象を「爆裂」と呼びますが、爆裂が起こると鉄筋はもちろん、コンクリートも剥がれてしまうため建物の耐久性が著しく低下します。

爆裂が起こると補修費用もかなりの額になるので、状況が悪化する前に補修することが大切です。

防水工事の膨れについてのQ&A

防水工事の膨れについてのQ&Aをご紹介します。

塩ビシート防水の上にウレタン防水はできますか?

シート防水の上にウレタン防水は可能です。

ただし、通常のウレタン防水材には有機溶剤を使用しているためシート防水との相性が良くありません。

そのため、塩ビシート改修用のウレタン防水剤を使用する必要があります。

まとめ

防水層の膨れの原因は「下地躯体から水分がでてきた」ケースと「防水層の破断で雨水が侵入している」ケースの2つがありましたね。

後者の雨水が侵入しているケースでは早急に防水層の補修をする必要があります。

そのまま放っておくと建物内部に雨水が侵入して、室内や建物の躯体そのものに大きな被害を与えてしまいます。

この記事では、防水層の膨れを補修する方法をまとめたので、まずはご自身の物件に最適な補修方法をチェックしてみてください。

当サイトでは、地域別に防水工事の専門業者をまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。

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