「防水工事の臭いや騒音が気になる」「入居者トラブルになったらどうしよう・・」そんな工事中の臭いや騒音を気にしている大家さんも多いはず。
というのも、防水工事には様々な種類と工法があり、施工内容によっては臭いや騒音が原因で入居
者トラブルを招く心配があるからです。
そのため、入居者トラブルを防ぐためにも、臭いや騒音が大きな防水工事をする場合には注意しましょう。
●防水工事によくある臭いトラブル
●防水工事によくある騒音トラブル
●入居者トラブルを防ぐ3つの対策
この記事では、臭いや騒音の少ない防水工事と防水工事によくある臭い・騒音に関するトラブル事例などについて解説しています。
防水工事の臭いや騒音が原因で入居者トラブルになったら大変なので、この記事を読んで「入居者トラブルにならない防水工事」を確認していきましょう。
防水工事によくある臭いトラブル
防水工事には、様々な種類や工法がありますが、中には強烈な臭いがするものがあります。
屋上の防水工事の場合、ほとんど臭いの影響を受けませんが、ルーフバルコニーやベランダといった場所だと臭いが気になってしまいます。
そんな防水工事によくある臭いトラブルをご紹介します。
臭いがでやすい防水工事
防水工事の中でも、特に臭いがでやすいのが「ウレタン防水」です。
ウレタン防水は、溶剤系の防水材でトルエンで希釈して使用するため、防水材を塗って乾燥するまでは強い臭いが発生します。
また、マンションやビルなどではあまり使用されませんがFRP防水は、さらに臭いが強い防水工事なので、もしFRP防水を検討する場合は臭い対策もしっかり行いましょう。
トルエンは、無色透明の液体で、水には大変溶けにくいが、アルコール類、油類などには極めて溶けやすいため、ペンキ、インク、接着剤、殺菌剤などの溶媒として幅広く使われている。
引用元:トルエン
臭い対策に有効な3つの方法
臭いの感じ方は個人差も大きく、必要に応じて臭い対策を検討することも大切です。
入居者の方にも手軽に試せる方法をまとめてみたので参考にしてください。
臭い対策用マスクをする
まずは簡単に行える対策として「臭い対策用のマスク」があります。
中でも、活性炭入りや消臭成分入りのマスクがおすすめです。
一般のマスクに比べ臭いを軽減してくれますし、ドラッグストアなどでも手軽に購入できます。
中には一般のマスクを2枚重ねて使う方もいますが、息苦しいですし臭いもそれほど軽減されません。
臭い対策用のマスクが効果的です。
換気をする
部屋の中に臭いが入ってきてしまって辛い場合、換気をして臭いを外に排出するのがおすすめです。
防水工事をしている場所から離れた窓や扉を開いて、外に向けて扇風機などで風を送ることで、家の中の嫌な臭いを外に排出することができます。
間違って防水工事をしている場所に面した窓や扉を開けると、臭いが家に充満するので注意してください。
外出する
どうしても臭いが気になる場合は、臭いが強くなる作業中は外出するのもおすすめです。
防水工事の作業内容の中でも、特に臭いが発生する作業中だけでも外出できれば、臭いによるストレスもかなり軽減されるはずです。
特に臭いに敏感な方は、工事期間中は実家やホテルなどに避難するのも有効です。
防水工事のよくある騒音トラブル
防水工事をする際には、既存防水層の撤去をする際の機械音や高圧洗浄などの騒音が発生します。
また、防水工事の種類や工法によっても騒音の大きさに違いがあります。
そんな防水工事によくある騒音トラブルをご紹介します。
音がでやすい防水工事
出典:http://www.nissei-k.jp/blog/2009/08/post-133.html
防水工事の中でも、音がでやすい工法は「塩ビシート機械固定工法」です。
この工法は、下地処理が最低限で済むことや工期も短く、工場生産された塩ビシートのため、防水層の厚みも均一で耐久性に優れています。
そのため、防水工事の改修工事ではよく採用される工法ですが、躯体に固定ディスクを打つ際に振動ドリルを使うため、広範囲に騒音が発生します。
特に屋上の階下への騒音は大きく、かなりのストレスを与えてしまいます。
音対策に有効な3つの方法
騒音の感じ方にも個人差がありますが、音が大きくストレスを与える場合は必要に応じた騒音対策が必要です。
入居者の方にも手軽に試せる方法をまとめてみたので参考にしてください。
耳栓をする
耳栓も様々なタイプがありますが、用途にあうものを選ばないと思うような効果が得られないケースもあります。
耳栓を選ぶ基準は、遮音性とつけ心地を考慮して選びましょう。
耳栓の遮音性能は「NRR値」で示されますが、NRR値の最高は「33」なので、つけ心地の良いフォームタイプでNRR値33の耳栓がおすすめです。
防音カーテンをする
防音カーテンは「音を遮る(遮音)」と「音を吸収する(吸音)」効果が期待できるカーテンで、音が通りにくい織り方や素材で作られています。
主に、人の話し声より少し高いとされる「工事現場の騒音」や「ピアノ等の楽器音」などの中高音域で効果を発揮します。
また、防音効果はカーテン糸の密度が濃く重たいほど効果的です。
外出する
防水工事の作業工程の中でも、特に騒音が大きく発生する日程が事前に分かっている場合は、思い切って外出するのもおすすめです。
騒音から離れることで不要なストレスやイライラを避けることができます。
また、夜間に仕事をしている方は騒音が気になって昼間に眠れないケースもあるため、仕事のスケジュールを調整するか、他の眠れる場所を確保するなどの対策が必要です。
入居者トラブルを防ぐ3つの対策
防水工事を検討する中で、防水工事に関する臭いや騒音の問題で入居者とのトラブルを心配している大家さんも多いようです。
そんな入居者トラブルを防ぐための3つの対策をご紹介します。
【トラブル対策1】臭いや騒音のでにくい防水工事を選ぶ
基本的には、臭いや音のでにくい防水工事を選ぶことで入居者との不要なトラブルを最小限に抑えることが可能です。
例えば、ポリマーセメント系塗膜防水材は、水系樹脂とセメント系パウダーを混ぜた材料のため、シンナーなどの臭いの問題はありません。
また、塗膜防水は塗り防水なので振動ドリルを使って躯体に穴を開けることもなく、騒音の心配もありません。
ただし、脱気筒を設置する際にドリルを使用することもありますが、音も比較的静かですし施工箇所も50㎡に1カ所と限定されているため問題にはならないでしょう。
【トラブル対策2】事前の挨拶と案内はしっかりおこなう
事前の挨拶は、挨拶文を投函するだけではなく、戸別訪問や説明会を開くなど、できる限り対面で行う方が良いでしょう。
対面で行う場合には、業者に任せるより施主も一緒に対応するのがおすすめです。
業者任せにするより、施主も一緒に対応することで入居者も安心しますし、工事期間中に何か問題があっても対応しやすくなります。
ちなみに、戸別訪問する場合は休日の夕方が滞在率も高くおすすめです。
挨拶文に書く内容
挨拶分に書く内容に決まりはありませんが、以下のような内容は書いておきましょう。
・時候の挨拶
・防水工事による臭いや音で迷惑をかけることへのお詫びの言葉
・工事日程と時間
・工事内容
・工事を請け負う業者の情報(元請け業者)
・工事を行う業者の情報(下請け業者)
・緊急連絡先
特に、臭いや音が発生する工事工程の日程や時間は分かりやすく伝えるようにしてください。
【トラブル対策3】24時間換気システムは切っておく
2003年7月に24時間換気の設置が義務付けられましたが、換気システムが動いていると外の外気を室内に取り込んでしまうため注意が必要です。
臭いが発生する工事を行う期間を事前にチェックして、そのタイミングでは24時間換気システムは切るようにしましょう。
どうしても室内の臭いが気になる場合は、窓を少し空けて扇風機などで中の空気を外に押し出すようにします。
防水工事の臭いによる健康被害や悪影響とは
防水工事の改修工事で使われることの多い「ウレタン防水」では、有機溶剤の「トルエン」を使用するため強烈な臭いが発生します。
有機溶剤は常温では液体ですが、揮発性が高いため蒸気となって呼吸を通じて体内に吸収されやすく、油脂に溶ける性質があるため皮膚からも吸収されます。
トルエンは、中枢神経に影響を及ぼすことから頭痛や吐き気、ふらつきなどの出現や暴露量が多いと意識が消失することもあるため、室内で作業する場合は特に注意が必要です。
妊婦や赤ちゃんへの影響
妊婦や赤ちゃんは特に注意が必要です。
ウレタン防水に含まれる有機溶剤を吸い込むと、大人よりも赤ちゃんの方が影響を受けやすくなります。
例えば、マニュキュアを室内で塗ったり、除光液を使うだけでも赤ちゃんには大きな負担を与えます。
また妊娠中の場合は、妊婦が吸い込んだ有機溶剤が濃縮されて赤ちゃんに届く可能性もあるので、できる限り吸い込まないようにしましょう。
ペッとへの影響
犬の嗅覚は、人間の100万倍以上と言われるぐらいなので、ペットへの影響は大きくなります。
ペットへの健康被害として、酔っぱらったような状態になったり、食欲不振や怒りっぽく吠えるなどがあります。
防水工事の臭いや騒音についてのQ&A
防水工事の臭いや騒音についてのQ&Aをご紹介します。
工事中のご近所トラブルを防ぐには?
防水工事には臭いや騒音が発生する場合があり、ご近所トラブルになるケースも少なくありません。
そんなご近所トラブルを防ぐには、事前にご挨拶をすることが一番大切です。
出来れば、一軒ずつ挨拶をしてまわるのが望ましいですが、難しい場合には書面んで丁寧に説明するようにしましょう。
まとめ
「臭いや騒音の出にくい防水工事を選ぶ」「事前の挨拶と案内はしっかり行う」という2点がポイントでしたね。
そのため、臭いと騒音の心配が少ない防水工事を検討することが大切です。
この記事では、その一例として「ポリマーセメント系塗膜防水」をご紹介しましたので、まずはご自身の物件でも施工可能かどうか確認してみてください。
また、事前の挨拶は対面で行うようにし、業者と同行するほうが良いでしょう。
当サイトは、地域別に防水工事の専門業者をまとめていますので、臭いや騒音の少ない防水工事を検討する時にはそちらも参考にしてみてください。