【防水工事をしたのに雨漏り】再施工のコツと雨漏りを解決した5事例

「防水工事したのに雨漏りが止まらない」「1年後に再び雨漏りしたが業者が対応してくれない」と悩んでいる大家さんも多いかもしれません。

というのも、雨漏りの原因を突き止めるのは、プロでも難しいと言われており、知識と経験を積んだ業者が少ないため、雨漏りに関するトラブルは後を絶ちません。

実際に「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」への相談件数でも、雨漏りに関する相談が一番多いようです。

そのため、防水工事をしても雨漏りが止まらない、再び雨漏りが再発した場合は、業者への賢い対応と雨漏り解決の糸口を見つけることが大切です。

この記事でわかること●業者への賢い対応の仕方
●雨漏りを解決した5つの事例
●解決が困難なときの対処法

この記事では、業者への賢い対応の仕方と実際に雨漏りを解決した5つの事例について解説しています。

雨漏りを止めるために高額な費用を払って防水工事をしても、「雨漏りが止まらなかったら納得できない」と思いますので、この記事を読んで今後の対応を確認していきましょう。

防水工事で雨漏りが止まらない時の対処法


雨漏りを止めるために防水工事したはずなのに、またすぐに雨漏りが再発した場合の対処法は「保証がある場合」と「保証がない場合」で違ってきます。

まずは、保証がある場合の対処法をご紹介します。

保証がある場合は無償で修理依頼ができる


防水工事に保証がついている場合は、その保証期間に雨漏りが発生しても無償で補修工事をしてくれるはずなので防水業者に連絡して対応してもらいます。

この保証は、あくまで「施工ミスによって生じた不具合や雨漏り」を対象としたものなので、地震や台風などの自然災害や、注文者などの過失による雨漏りは対象外です。

保証がない場合は「契約不適合責任」を利用して修理依頼する


防水工事に保証がついていない場合でも、雨漏りが発生した時点ですぐに防水業者に対応してもらいましょう。

「保証がないのに大丈夫!?」と思われるかもしれませんが、防水工事などの請負工事には「契約不適合責任」に基づいて、補修を依頼することが可能です。

契約不適合責任とは?

雨漏りを止めるために防水工事をお願いしたのに、雨漏りが止まらない場合、高額の費用が無駄になります。

こんな時、注文者を守ってくれる民法が「契約不適合責任」です。

以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月に民法が改正され「契約不適合責任」へ変わりました。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第637条
1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

引用元:e-Gov法令検索

契約不適合責任の内容は以下の通りです。

項目 契約不適合責任
対象 契約との不適合(雨漏りが止まらない)
請求期限 不適合の事実を知ってから1年以内に告知
買主が請求できる権利 追完請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求
損害賠償責任 過失責任
対象

防水工事の目的は「雨漏りを止める」「雨漏りを防ぐ」ために行う工事なので、万が一雨漏りが止まらない場合は契約との不適合になります。

請求期限

請求期限は不適合の事実(雨漏りが止まらない・雨漏りが再発した)を知ってから1年以内に告知する必要があります。(但し、納品後5年以内で請求権は消滅)

例えば、3年後に雨漏りが再発した場合でも契約不適合責任を求めることが可能ですが、請負人が契約書等で「責任期間を限定」している場合は、その期間が優先されます。

買主が請求できる権利

買主が請求できる権利は4つあります。

・追完請求

防水工事したのに雨漏りが止まらない、または再発した場合、欠陥箇所の修理を依頼することが可能です。

・代金減額請求

追完請求で雨漏りしている欠陥箇所の修理を依頼しても請負人が修理をしないとき、あるいは修理ができないときに認められる権利で、代金減額請求が可能です。

・契約解除

追完請求をしても請負人が応じない場合は、契約解除して代金の返還を請求することが可能です。

・損害賠償請求

損害が発生した場合に損害賠償請求が可能ですが、損害賠償請求には請負人の「帰責事由」が必要です。

帰責事由とは、責められる理由や落ち度、過失のことを言いますが、防水工事の場合の帰責事由は「雨漏りが止まらない」「雨漏りが再発した」ですね。

注意!地震や台風などの自然災害や買主の人災による防水層の破損が原因の雨漏りには「契約不適合責任」を請求できません。

【防水工事をしたのに雨漏り】5つの解決事例を紹介!


雨漏りを止めるには、雨漏りの原因を突き止め適切な修繕工事をする必要があります。

そこで、実際に雨漏りの原因を突き止めて、雨漏りを解決した5つの事例をご紹介します。

雨漏りの原因が分からず、適切な修繕工事ができずに困っている大家さんはぜひ参考にしてください。

屋上防水に多い雨漏り原因とは?


屋上防水に多い雨漏り原因を3つご紹介します。

【事例1】塩ビシートに浮きや破断がある

出典:https://雨漏り事情.tokyo/?p=1563

塩ビシートは工場で生産した塩ビシートを張り合わせることで防水層を形成しますが、端末シートに浮きがあり、シートジョイント部を隈なく確認すると、シートの収縮による小さな破断が数カ所確認されました。

塩ビシートに浮きや破断があると、その部位から雨水が侵入して雨漏りするため、シートはしっかり貼り合わせる必要があります。

上記のケースは、工事完了後1年ほどで雨漏りが発生しており、施工ミス・施工不良によるものです。

チェックポイント!

塩ビシートの場合、一見キレイに施工されているように見えても、シートの端末部やシート同士の繋ぎ目にシートの浮きや破断、めくれなどが見られることがあります。

ご自身の物件でも、手で触りながらそのような不具合がないかチェックしましょう。

【事例2】パラペットにウレタン防水がしっかり塗られていない

出典:http://www.sanken-koji.co.jp/report/page/index_id/191/

屋上には、パラペットと呼ばれる垂直に立ち上がった低い手摺のような部位がありますが、このパラペットの立上がり部分にウレタン防水がしっかり塗られていないことが確認されました。

少し分かりにくいですが、よく見ると下地の壁がところどころ露出しており、雨水が侵入してもおかしくない状態でした。

パラペットは、垂直に立ち上がっているので平場に比べると膜厚を付けにくい部位ですが、しっかり膜厚を付けてウレタン防水を塗る必要があります。

上記のケースでは、工事完了後1ヶ月ほどで雨漏りが発生しており、完全な施工ミスです。

チェックポイント!

ウレタン防水の場合、職人がコテやハケを使ってウレタン樹脂を塗りつけていくため、塗りムラなどで部分的に薄い個所がでる場合があります。

その部位から劣化して穴が開いた状態になり、雨水が侵入することもあるため、ご自身の物件でも、ウレタン樹脂が塗られていない部位や穴などの破断がないかチェックしましょう。

【事例3】パラペット天端の貫通穴から雨水が侵入していた

出典:https://maxreform-kobe.jp/kasagi

パラペットの上部に取り付けられて笠木と呼ばれるアルミ製の仕上材を外してみると、パラペット天端には数か所の貫通穴があり、そこから雨水が侵入していました。

台風などの暴風雨では雨水が笠木の下に吹き込むため、この貫通穴から雨水が入って雨漏りしていたと思われます。

パラペット天端に貫通穴がある場合は、雨水が入らないようにしっかり防水処理をする必要があります。

チェックポイント!

パラペット天端には笠木が取り付けられていることが多く、この部位から雨水が侵入して雨漏りするケースも多いため、ご自身の物件でもしっかりチェックしてみましょう。

外壁に多い雨漏り原因とは?


屋上防水をやっても雨漏りが止まらない場合、「雨漏りの原因が屋上ではなく外壁だった」というケースも多く発生しています。

そこで、外壁編では窓やサッシを含めた2つの雨漏り事例をご紹介します。

【事例4】外壁のひび割れから雨水が侵入していた

出典:https://daikokukensou.com/report/764

外壁にひび割れがある場合、その部位から雨水が侵入して雨漏りしているケースが多く発生しています。

たとえ小さなひび割れでも雨水が侵入するケースがあるため、ご自身の物件でも外壁のひび割れがないかチェックしましょう。

チェックポイント!

ALC外壁の場合、10年前後で目地のシールが劣化し、雨水が侵入しやすくなるため外壁のひび割れと合せてシールの状態もしっかり確認する必要があります。

【事例5】サッシの縦枠と外壁の取り合い部分から雨水が侵入

出典:http://www.yaneyasan.net/rc_amamori

外壁にはベランダや窓などのサッシが設置されており、そのサッシの縦枠と外壁の取り合い部分から雨水が侵入するケースも多く発生しています。

見た目には雨水が侵入しそうな部位が見当たらない場合でも、実際に雨漏りするケースもあります。

チェックポイント!

サッシの縦枠以外にも、上枠や下枠やエアコンなどの貫通部分も雨水が侵入して雨漏りに繋がりやすい部位なので合せてチェックしてください。

雨漏り原因が特定できない場合の対処法


防水工事をして間もないのに雨漏りが起きた場合には、防水業者を呼んで施工不良がないかをチェックしてもらいましょう。

これにより、原因が特定できれば再施工をすればいいのですが、チェックしても雨漏りの原因を特定できない場合はどうするべきでしょうか。

そういう場合は、「一般の施工業者」での解決は難しいので、「雨漏り修理の実績が豊富な業者」に現地調査を依頼する方が得策です。

それでは、具体的に、雨漏り修理が得意な業者を見つける方法について解説します。

散水検査やサーモグラフィー調査が可能な業者を探す


一般的な防水業者は「目視調査」で雨漏りの原因を特定します。

しかし、目視調査では本当に雨漏りの原因かどうかは、防水工事をやった後に雨漏りが止まったかどうかで判断するしかありません。

もし、工事した部分が雨漏りの原因個所ではない場合、雨漏りが止まらずに、再度工事が必要になります。

一方で「散水調査」や「サーモグラフィー調査」は、実際に散水することで、その部位から雨水が侵入するのかを確認できるため精度の高い雨漏り調査が可能です。

雨漏りの原因が特定できれば、適正な補修をすることで雨漏りを止めることができるため、散水調査やサーモグラフィー調査を行なえる業者に依頼することが重要です。

「雨漏り診断士」の資格保有者が在籍している業者を探す


雨漏り修理を依頼する業者は「雨漏り診断士」などの雨漏り修理に有効な資格を持っているかを確認することも重要です。
雨漏りを止めるためには、建物の構造を理解し雨水の侵入箇所をピンポイントで特定する能力が必要です。

どこから雨漏りしているか特定せずに、適当な工事をやっても高額な工事費用が発生するばかりです。

これ以上修理費用を無駄にしないためにも、雨漏り診断士などの専門的な資格を保有している業者に依頼しましょう。

解決が困難なときは第三者機関に相談する

「どうしても解決出来そうにない」「どうしていいのか分からない」など、自分一人では解決が困難なときには、第三者機関に相談するのもおすすめです。

住宅リフォーム・紛争処理支援センター

「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」
国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口で、リフォームのトラブルの解決方法やアドバイスを受けることができます。

消費生活センター

「消費生活センター」
消費生活センターでは、消費生活に関する様々な相談を受け付けており、リフォームに関するトラブル相談も受け付けています。

弁護士会(各地域ごとに設置)

「弁護士会(各地域ごとに設置)」
弁護士会は、各地域ごとに設置されている機関で身近に弁護士を知らない方のための「相談窓口」を開設しています。

相談費用は、30分5500円となっており「弁護士に依頼するかは分からないが、一度だけ話を聞いてみたい」という場合にはおすすめです。
弁護士に依頼したい場合は、その場で依頼することも可能ですし、他の弁護士を紹介してもらうこともできます。

雨漏りを自分で応急処置する方法


急な雨漏りで業者もすぐに来てくれない状況になった場合、少しでも被害を抑えるために自分で出来る応急処置をご紹介します。

天井からの雨漏りはバケツで受ける

天井からポタポタとしたたり落ちる水を放っておくと雨水で床がびしょびしょになってしまいます。

そんな時にはバケツで雨水を受けて対処しましょう。

やり方はとっても簡単です。

1、雨漏りしている下にレジャーシート、新聞等を敷く
2、バケツの底にタオルや雑巾を敷いて雨水を受ける

バケツの底にタオルや雑巾を引くことで水がまわりに飛び散りにくくする効果があります。

ワンポイント!バケツの水が多くなると効果が無くなるので、水をこまめに捨てましょう。

窓周りの雨漏りは雑巾で吸い取る

窓周りのサッシや窓枠から雨漏りしている場合の応急処置もご紹介します。

1、カーテン等がある場合は外す
2、雨水で濡れている部分に雑巾を敷く

ワンポイント!ビニールシートやごみ袋を窓周りの下に敷くと雨水の広がりを防ぐことができるのでおすすめです。

防水テープで雨水の侵入を防ぐ

雨水が侵入している場所が特定できている場合、防水テープで応急処置する方法も有効です。

1、雨漏りしている箇所のまわりを雑巾でキレイに拭く
2、空気が入らないように雨水が流れる方向の下から上に向かってテープを張る

ワンポイント!テープを張る箇所にホコリや油分が残っているとテープが剝がれやすくなるので注意しましょう。

防水工事の雨漏りについてのQ&A

防水工事の雨漏りについてのQ&Aをご紹介します。

屋上防水の劣化による雨漏りの事例は?

屋上の雨漏りで多いのが排水口(ドレン)廻りの劣化です。

この部分は屋上に溜まった雨水を排水管などに排出する働きをしているため劣化しやすく雨漏りの原因になりやすいと言われています。

まとめ

●保証期間内であれば、雨漏りが再発してもきちんと再施工してもらえる※条件による
●保証がない場合は、契約不適合責任での修理依頼を検討する
●雨漏り原因が特定できない場合は雨漏り診断士が在籍する業者に依頼する
という3点がポイントでしたね。

そのため、防水工事の保証の有無とは関係なく、雨漏りが再発した段階で、すぐに補修工事を依頼することが大切です。

この記事では「雨漏りを解決した5つの事例」をまとめたので、まずはご自身の物件に当てはまらないかどうかチェックしてみてください。

また、防水業者が雨漏りを止めることができない場合には、雨漏り診断士が在籍する雨漏り修理の実績が豊富な業者に相談しましょう。

当サイトには、地域別に雨漏り修理を得意とする防水工事の業者「都道府県ごとの業者一覧」をまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。

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