【防水工事の工法】耐用年数やメリット・デメリットを徹底比較!

防水工事には様々な種類や工法がありますが、「物件の種別(木造・鉄骨・RC)」「現状(雨漏の有無)」「大家さんの方針(収益重視・資産性重視)」などによって最適な防水工事の種類と工法は異なります。

しかし、どんな状況であっても、「できるだけ安く済ませて、長く持たせたい。」と考えるのが自然ですよね。

防水工事は、通常㎡単価で6,000円~8,000円かかり、耐用年数も10年~15年が一般的ですが、なかにはそれよりもぐっと安く抑える方法や長く持たせる方法もあります。

この記事でわかること一番安い防水工事はウレタン防水密着工法
● 空調などの架台が多い場合もウレタン防水が最適
● 価格と対応年数のバランスがいいのは塩ビシート機械固定

この記事では、防水工事の種類や工法別のメリット・デメリット、最適な防水工事の選び方などについて解説していきます。

最適な防水工事の選び方を知っておけば、失敗しない防水工事をすることが可能です。

また、悪徳業者に騙されないための業者選びのポイントも合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

防水工事の種類や工法別の対応年数やコスパ


防水工事の種類は大きく4種類あります。

●ウレタン防水
●シート防水
●アスファルト防水
●FRP防水

この4種類の中にさらに様々な特徴を持った工法が用意されていて、対応年数やコスパに大きな違いが生まれます。

防水工事の種類 工法 対応年数 次回メンテ時期 価格
ウレタン防水 密着工法 5~8年 △5年ごと必須 3500~5000円
ウレタン防水 メッシュ工法 10~12年 △5年ごと必須 4000~5500円
ウレタン防水 通気緩衝工法 10~13年 △5年ごと必須 5500~7000円
加硫ゴムシート防水 密着工法 10~12年 △5年ごと必須 4000~5000円
加硫ゴムシート防水 機械固定工法 10~13年 △5年ごと必須 4500~5500円
塩ビシート防水 密着工法 10~15年 〇5年ごと推奨 5000~6500円
塩ビシート防水 機械固定工法 12~15年 〇5年ごと推奨 6000~7500円
アスファルト防水 常温工法 12~15年 〇5年ごと推奨 5500~7000円
アスファルト防水 トーチ工法 15~20年 ◎10年ごと推奨 6000~7500円
アスファルト防水 熱工法 15~25年 ◎10年ごと推奨 7000~8500円
FRP防水 密着工法 10~13年 △5年ごと必須 6000~8000円
FRP防水 通気緩衝工法 13~15年 △5年ごと必須 7000~8000円

防水工事の種類や工法別のメリット・デメリット

防水工事の種類 工法 工期 雨漏りした物件への施工
ウレタン防水 密着工法 3~5日 ×
ウレタン防水 メッシュ工法 4~6日 ×
ウレタン防水 通気緩衝工法 5~8日
加硫ゴムシート防水 密着工法 2~3日 ×
加硫ゴムシート防水 機械固定工法 3~4日
塩ビシート防水 密着工法 2~4日 ×
塩ビシート防水 機械固定工法 3~5日
アスファルト防水 常温工法 3~5日 ×
アスファルト防水 トーチ工法 5~7日
アスファルト防水 熱工法 7~10日
FRP防水 密着工法 2~3日 ×
FRP防水 通気緩衝工法 3~5日

ウレタン防水のメリット・デメリット

出典:https://www.tosoushokunin.jp/bousui/uretan/

メリット

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を床面に塗り広げて防水層を作る工法で、床面の形状や材質を問わず施工可能です。

特に空調の設備や室外機、キュービクルなどが多数設置された複雑な形状の屋上部分には、ウレタン防水は最適な工法となっています。

また、工事期間も短く、費用も防水工事の中では一番安いのも大きなメリットです。

他の防水と大きく異なるところは、継ぎ目のないシームレスな防水層に仕上げることができるというメリットです。

引用元:ウレタン防水の特性と可能性

デメリット

ウレタン防水は、人の手によって塗り広げられるため、どうしても膜厚にムラが生じることから作業員の技量に大きく左右される傾向があります。

ウレタン防水を維持するためには、トップコートの塗り替えを5年に1回実施する必要がありますが、これをおこたると防水層の劣化が進んで漏水の原因になります。

ワンポイント!トップコートは見た目を良くするだけではなく、防水層を太陽の紫外線や雨・風などの劣化から守るために塗ります。

ウレタン防水には、「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」と3つの工法があります。

工法別のメリット・デメリットも合わせてご紹介します。

ウレタン防水密着工法

メリット

密着工法は、ウレタン防水の中でも1番工期が短く、費用面でも1番安く仕上がる工法です。

収益性重視で、とにかく安く済ませたい大家さんにはおすすめです。

デメリット

密着工法は、下地のコンクリートにウレタン樹脂を2回塗り重ね、最後にトップコートで仕上げる工法なので、すでに雨漏りしている建物(躯体)には向いていません。

雨漏りしている場合、下地のコンクリートに水分が残っているため密着工法では、水分の逃げ道がなく防水層の膨れ・破断の原因になります。

さらに、面積の広い建物の場合も下地コンクリートの揺れやクラックなどの影響を受けやすいため長持ちはしません。

ウレタン防水メッシュ工法

メリット

メッシュ工法は、上記の密着工法に網状のメッシュシートを入れることで防水層の強度をアップさせる工法です。

最低でも10年程度は持たせたい場合はこちらの工法が良いでしょう。

メッシュシートを入れることで防水層の強度がまし、地震などで下地コンクリートにひび割れが生じた場合でも防水層の破断を防ぎます。

デメリット

メッシュ工法の場合も、密着工法と同様に雨漏りしている建物には向かないため、すでに雨漏りしている建物には、次にご紹介する通気緩衝工法を検討されてみてはいかがでしょうか。

ウレタン防水通気緩衝工法

メリット

通気緩衝工法は、下地コンクリートの上に通気緩衝シートと脱気筒を設置後、ウレタン樹脂を2回塗り重ねる工法です。

すでに雨漏りしている建物にも施工可能な工法です。

下地コンクリートに染み込んだ水分は通気緩衝シートを通って脱気筒から外へ排出されるため、防水層の膨らみや破断のリスクが軽減されます。

さらに、地震などで下地コンクリートが破断した場合も通気緩衝シートがクッションの役割をし、防水層の破断を防ぎます。

デメリット

通気緩衝工法のデメリットは、ウレタン防水の中では施工費が一番高いという点です。

加硫ゴムシート防水

出典:https://housejoho.com/roof-waterproofing

メリット

加硫ゴムシート防水は、合成ゴムのシートを床面に接着剤や固定金具で密着させて防水層を作る工法です。

加硫ゴムシート防水は工場で形成された、耐久性や対候性に優れたシートなので、安価で施工しやすいコスパ抜群の工法です。

ウレタン防水とは違って、作業員の技量の影響も受けにくいので安心です。

加硫ゴムを原料としたシートを、接着剤で下地に貼り付け、ジョイント部を貼り合わせて連続被膜を形成する防水工法です。

引用元:加硫ゴム系シート防水

デメリット

加硫ゴムシート防水の一番のデメリットは鳥害を受けやすい点です。

特に近くに山がある場合、カラスなどの鳥が口ばしで防水層に穴を開けることがあります。

また、加硫ゴムシートのラップ部分(シート同士が重なっている部分)の先端部は劣化しやすく、剥がれることもあるので注意が必要です。

さらに、加硫ゴムシート防水はシートを敷き詰める必要があるため、複雑な形状や架台や配管が多い屋上などへの施工には不向きです。

シートの隙間から雨水が入りやすく、施工後に漏水するリスクがあります。

注意!山が近い場所に立地するマンションやビルでは加硫ゴムシート防水は避けた方が良いでしょう。

加硫ゴムシート防水には、密着工法と機械固定工法の2つの工法がありますが、それぞれの工法別のメリット・デメリットも合わせてご紹介します。

加硫ゴムシート防水密着工法

メリット

密着工法は、下地コンクリートにゴムシートを敷き詰めて接着剤で密着させることで防水層を形成します。

作業工程も少ないため費用面でも安価な施工が可能です。

さらに、材質がゴムなので収縮性が高く下地コンクリートの亀裂にも追従するため地震大国の日本では昔から重宝されてきた工法です。

また軽量なので木造住宅の防水工事にも向いている点や温度変化にも強いため、地域を選ばず施工が可能です。

デメリット

密着工法は、ウレタン防水の密着工法と同じで雨漏りしている建物(躯体)には向きません。

理由は、下地コンクリートに染み込んだ水分の逃げ道がなく、防水層の膨れや破断の原因になるためです。

加硫ゴムシート防水機械固定工法

メリット

機械固定工法の最大のメリットは、既存防水層を残した状態での施工が可能な点です。

そのため工期の短縮と廃棄物を最小限に抑えることができ、環境にも優しい工法です。

また、機械固定工法は別名「かぶせ工法」とも呼ばれるように、既存の防水層にかぶせることで新規の防水層を形成するため、雨漏りで下地コンクリートに水分を含んでいる建物(躯体)にも施工可能です。

デメリット

機械固定工法を行う場合に大きな振動音が発生します。

その理由はシートを接着するために固定金具を下地コンクリートに固定する際にドリルを使う必要があるからです。

そのため、工事前には入居者様への作業時間の連絡とあいさつが必須になります。

連絡しないでいきなり工事をするとトラブルの原因になります。

注意!機械固定工法は騒音が出るため、入居者様への説明も丁寧にしてくれる業者に依頼すると安心してお任せできます。

塩ビシート防水には、密着工法と機械固定工法の2つがありますが、それぞれの工法別のメリット・デメリットも合わせてご紹介します。

塩ビシート防水

出典:https://www.my-painter.com/column/20190719genba2-2/

メリット

塩ビシート防水は、塩ビのシートを床面に接着剤や固定金具で接着・固定させることで防水層を形成する工法です。

塩ビシートは工場で形成されていて、寿命が長く、紫外線や雨・風にも比較的強いのが最大のメリットです。

また、耐摩耗性にも優れており、人が防水層の上を歩くことも可能です。

塩化ビニル樹脂を原料としたシートを、接着剤や塩ビ鋼板などで固定し、ジョイント部を溶融一体化して連続被膜を形成する防水工法です。短い工期や、色彩の豊かさが特長です。

引用元:合成高分子系塩ビシート

デメリット

シートを貼っていく工法なので、複雑な形状や空調の設備や室外機、キュービクルなどが多い屋上には不向きです。

シートのつなぎ目の処理が悪いとシートの剥がれの原因となり、施工には高い技術が必要なので経験豊富な施工業者に依頼しましょう。

費用面でも少し高めになることが多いようです。

塩ビシート防水密着工法

メリット

密着工法は、下地コンクリートに塩ビシートを直接貼りつける工法なので、工期が短くコストを抑えることが可能です。

デメリット

加硫ゴムシートの機械固定工法と同じで、塩ビシートを下地コンクリートに固定する際に大きな騒音が発生するので、入居者様への連絡とあいさつが必須です。

ポイント!騒音が気になる場合は密着工法やウレタン防水を検討するのもおすすめです。

アスファルト防水には、「常温工法(冷工法)」「トーチ工法」「熱工法」の3つがありますが、工法別のメリット・デメリットも合わせてご紹介します。

塩ビシート防水機械固定工法

メリット

機械固定工法(絶縁工法)のメリットは既存の防水層を撤去せずにその上から全体を覆うように被せて施工でき、既存防水層の撤去費用や廃材処理のコストも節約できます。

また、建物の揺れや下地コンクリートのクラックにも影響を受けにくい工法です。

機械固定工法には、「UD工法(固定ディスクの先打ち)」と「US工法(固定ディスクの後打ち)」の2種類がありますが、一般的にはUD工法で施工します。

高層階や沿岸の建物の場合、耐風性に優れたUS工法で施工するケースもあります。

デメリット

下地コンクリートに固定ディスクを打ち込む必要があるため大きな騒音が発生します。

マンションやビルの入居者様への対応も必要です。

費用面でも塩ビシートの密着工法に比べ少し高くなります。

ポイント!塩ビシート防水の機械固定工法は費用対効果の高いおすすめの工法です。

アスファルト防水

出典:https://www.toua-kasei.jp/blog/jobs/105349

メリット

アスファルト防水は、合成繊維不織布にアスファルトを含浸(染み込ませる)・コーティングしたシート状のルーフィングを何層も貼り重ねる工法です。

他の防水方法に比べて、水密性(水がもれない)、耐久性が高く、施工後の不具合も出にくいのがメリットです。

仕上は、防水層の上をコンクリートで保護する「押えコンクリート仕上げ」と砂の付いたシートで保護する「露出仕上げ」があります。アスファルト防水は、アスファルトという素材の持つ独自の性能を活かした防水工法です。

引用元:建築防水分野

デメリット

シートを何層も積層するため一定の重さになるので屋上の耐久性も考慮する必要があります。

また複雑な形状の屋上には不向きで、費用面でも高くなるのもデメリットです。

アスファルト防水熱工法

メリット

熱工法は、熔解釜でアスファルトを220℃~270℃に溶解し、アスファルトルーフィングと呼ばれる防水シートを2~4枚貼り重ねていくため、防水性・耐久性に優れています。

一番のメリットは防水工事の中で防水性・耐久性が最も優れている工法です。

また短期間で硬化するため、工期も短くなります。

日本の防水建築では100年以上の歴史があるため、信頼性の高い工法で多くの建築物がこの熱工法で施工されています。

デメリット

現場に設置した熔解釜でアスファルトを熔解する際に220℃~270℃という高温になるため、火傷や火災の心配があります。

その他にも臭いも出るため近隣の迷惑にも注意が必要なことから改修工事ではあまり施工されない工法です。

最近では、環境に配慮した他の工法が採用されることも多くなっています。

特に改修工事では熱工法を使うことは少なく、次に紹介する常温工法やトーチ工法が主流となっています。

アスファルト防水常温工法(冷工法)

メリット

常温工法では、熱を使わずに防水層を作ることができます。

冷工法や自着工法とも呼ばれる工法で、ルーフィングシートに自着層(剥離紙を剥がすことで下地に密着させる)を持たせたシートを下地コンクリートに貼りつけます。

その上に、裏面に粘着剤をコーティングした改質アスファルトシートを貼りつけます。

常温工法のメリットは、熱を使わないので臭いや煙の心配もありませんし、大がかりな器具も必要ないので都会のビルやマンションが密集した場所や狭い環境でも施工がしやすいメリットがあります。

デメリット

常温工法は、熱工法に比べるとアスファルトシートの密着度が低いため、対応年数・防水性能が落ちるのがデメリットです。

アスファルト防水トーチ工法

メリット

トーチ工法は、裏面にアスファルトをコーティングした「改質アスファルトルーフィングシート」の裏面と下地を1,000度以上の高温の炎が出るトーチバーナーであぶり溶かしながら貼りつける工法です。

熱工法のように、大掛かりな器具も必要なく、比較的簡単に防水層を作ることが可能です。

常温工法に比べ、熱を使って貼りつけるので密着度も高く、対応年数・防水性能ともに良好です。

デメリット

トーチ工法は、トーチバーナーであぶり溶かしながら貼りつけるため、あぶり不足などの施工不良が原因の雨漏りが報告されています。

そのため施工者の技術力が必要な工法でもあります。

ポイント!トーチ工法は職人の技術力が問われる工法のため業者選びは慎重にする必要があります。

FRP防水には、密着工法と通気緩衝工法の2つがありますが、それぞれの工法別のメリット・デメリットも合わせてご紹介します。

FRP防水

出典:http://www.tatsumi-kenso.com/menu/%E9%98%B2%E6%B0%B4%E5%A1%97%E8%A3%85

メリット

FRP防水は、床面にFRP(繊維強化プラスチック)のシートを敷き、その上に樹脂を塗って硬化させる工法です。

FRPは、建築物よりもはるかに防水性が求められる風呂の浴槽や船舶にも使われている素材で、最も耐水性に優れています。

また、丈夫で他の防水層に比べて非常に軽量で丈夫な素材なので、量販店の屋上駐車場にも採用されています。

FRPは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの強化材(補強材)で補強されたプラスチック、という意味です。

引用元:FRP防水とは

デメリット

一番のデメリットは他の防水に比べて費用が高いことです。

さらに、施工時に硬化するまでポリエステル樹脂特有の刺激臭がします。

FRP防水は、硬質で伸縮性が皆無なため、大きな地震や台風でビルが揺れた場合に防水層が割れてしまう恐れがあります。

また、紫外線の影響による劣化を避けるためにも定期的なトップコートの塗り替えも必要です。

FRP防水密着工法

メリット

密着工法は、下地コンクリートにFRPシートを1枚~2枚敷いてポリエステル樹脂で固めることで防水層を作れるので施工期間も2日~3日で完了します。

デメリット

密着工法では、地震などで下地コンクリートにクラックが発生した場合、それに追従できずに防水層に割れが発生しやすくなります。

また施工時の臭いも強いので近隣への配慮が必要です。

FRP防水通気緩衝工法

メリット

通気緩衝工法は、下地とFRPシートの間に緩衝材となる通気緩衝シートを入れるので地震などによる下地コンクリートのクラックにも影響を受けません。

建物がすでに雨漏りしている場合にも、下地に浸透した水分を脱気塔から外へ排出できます。

デメリット

FRP防水の通気緩衝工法を施工できる業者が少ないためよい業者を探すのが大変です。

さらに密着工法に比べると費用面でも高くなるのがデメリットです。

注意!密着工法は木造や広い面積(20㎡以上)の床面への施工は向いていません。

最適な種類や工法はどれ?あなたにピッタリな防水工事はコレ!

あなたにピッタリな防水工事は? おすすめ工法・依頼先
とにかく防水工事にお金をかけたくない ウレタン防水密着工法
すでに雨漏りしている物件の防水工事をしたい ウレタン防水通気緩衝工法
短期間(工期を短く)で防水工事をやりたい シート防水密着工法
良い防水工事で資産を末永く守りたい アスファルト防水トーチ工法
複雑な形状や架台が多い屋上の防水工事をやりたい ウレタン防水メッシュ工法
軽量鉄骨物件の防水工事をやりたい ウレタン防水メッシュ工法
木造物件の防水工事をやりたい(20㎡以下) FRP防水(20㎡以下)
木造物件の防水工事をやりたい(20㎡以上) ウレタン防水通気緩衝工法
防水工事をやっても雨漏りが止まらない 雨漏りの原因を考える
部分的な補修で雨漏りを止めたい 既存の防水層によって様々
トタン・ガルバリウム合板屋根の防水工事をやりたい 屋根工事会社に依頼する
日本瓦・セメント瓦屋根の防水工事をやりたい 屋根工事会社に依頼する
厨房の防水工事をやりたい ウレタン防水(厨房使用)
庭池の防水工事をやりたい FRP防水
プールの防水工事をやりたい プール改修工事会社に依頼する

収益重視!とにかく防水工事にお金をかけたくない

物件の売却を1年以内に考えている場合やとにかく防水工事にお金をかけたくない大家さんには、ウレタン防水の密着工法がおすすめです。

ただし、対応年数が5~8年と短く保証期間も5年しかありません。

すでに雨漏りしている場合はこの工法は向かないので次に紹介する工法がおすすめです。

すでに雨漏りしている物件の防水工事をしたい

雨漏りしている物件には、ウレタン防水の通気緩衝工法がおすすめです。

この工法は雨漏りによって下地コンクリートに水分を含んでいる場合も施工が可能です。

対応年数も10年~13年と比較的長く、価格もそこまで高くないのでコスパの良い工法です。

できる限り短期間(工期を短く)で防水工事をやりたい

可能な限り短期間で防水工事をやってしまいたい場合は、シート防水の密着工法がおすすめです。

雨漏りしている場合はシート防水の機械固定工法になります。

シート防水には、「加硫ゴムシート」と「塩ビシート」がありますが、安く済ませたいなら加硫ゴムシートがおすすめです。

資産性重視!良い防水工事で資産を末永く守りたい

物件を末永く維持管理していきたい場合は、アスファルト防水のトーチ工法がおすすめです。

アスファルト防水のトーチ工法の対応年数は20年と長く、メンテナンスの手間が少ないのもメリットです。

雨漏りしている場合は、下地に水分を含んでいるため塩ビシートの機械固定工法にする方が良いでしょう。

こちらの工法でも対応年数が15年と長く、メンテナンスの手間もかかりません。

複雑な形状や架台が多い屋上の防水工事をやりたい

屋上の形状が複雑だったり、電気設備や空調の架台や配管がたくさんある場合には、ウレタン防水のメッシュ工法がおすすめです。

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂をローラーやコテで塗り広げることで防水層を作ることができるので施工場所を選びません。

雨漏りしている場合は、ウレタン防水の通気緩衝工法にする方が安心です。

もちろん施工場所を選ばず施工可能です。

軽量鉄骨物件の防水工事をやりたい

軽量鉄骨物件の防水工事には、ウレタン防水のメッシュ工法や加硫ゴムシート防水の密着工法がおすすめです。

どちらの工法も防水層の重量が軽く建物に大きな負荷をかけません。

少し高くなっても構わなければ、対応年数が15年と長い塩ビシートの密着工法もおすすめです。

木造物件の防水工事をやりたい

木造住宅は車の振動でも揺れが生じるため、防水工事も慎重に考える必要があります。

ベランダなどの20㎡以下の場所にはFRP防水の密着工法がおすすめです。

屋上部分や20㎡を超える場合は、ウレタン防水の通気緩衝工法や加硫ゴムシート防水の密着工法がおすすめです。

どちらの工法も建物の揺れにもしっかり追従します。

しかし、近くに山がある場合はカラスなどの鳥害のリスクを考えると、ウレタン防水の通気緩衝工法が良いでしょう。

防水工事をやっても雨漏りが止まらない

しっかり防水工事をやっても雨漏りが止まらない場合、4つの原因が考えられます。

1、施工した防水工事の種類や工法が間違っていた
2、施工不良がある
3、外壁や窓の周辺から雨水が侵入している
4、回収用ドレンに雨水が逆流している

もちろん、この他に原因がある場合もありますが上記の原因のいずれかの可能性が高いです。

もう少し詳しく解説させていただきます。

施工した防水工事の種類や工法が間違っていた

すでに雨漏りしている物件に、ウレタン防水やシート防水などの密着工法で施工したした場合、数年で雨漏りが再発するケースがあります。

雨漏りしていた物件にはこれらの工法は避けた方が良いでしょう。

施工不良がある

ウレタン防水の膜厚が極端に薄かったり、端部に塗り残しがある場合やシート防水の接合部分の接着が不充分などの施工不良がある場合は、早い段階で雨漏りが再発します。

施工業者に修繕依頼するべきです。

外壁や窓の周辺から雨水が侵入している

雨漏りの原因が屋上防水ではなく、外壁のクラックや窓周辺のシーリングの劣化が原因となって雨水が侵入するケースがあります。

この場合、施工した防水工事とは関係のない部分に原因があるので、外壁のクラック補修や窓周りのシーリングの打ち直しを依頼しましょう。

改修用ドレンに雨水が逆流している

本来、防水工事で使われている改修用ドレンは、防水層で受けた雨水を集めて樋(とい)へと流すことで雨水を効率よく排水します。

しかし、最近のゲリラ豪雨の多発によって、通常は上から下へ流れるはずの雨水が下から上に逆流することがあります。

そのため雨水が防水層の裏側に侵入することで雨漏りが発生します。

従来のドレンの場合、大量に雨が降り雨樋パイプ内の水がオーバーフローすると、改修防水層の裏側に雨水が入り、雨漏りが起きる構造になっていました。

引用元:一般的なドレン

雨が激しい時だけ雨漏りする場合、改修用ドレンへ雨水が逆流している可能性があります。

もちろん、以外の原因で雨漏りする事もあるので、必ず改修用ドレンが原因とは限らないのでその点はご注意ください。

できれば部分的な補修で雨漏りを止めたい

とりあえず応急処置として、一時的に雨漏りを止めたい場合は部分的な補修も可能ですが、長くは持たないのでおすすめはしません。

あくまで一時的な応急処置だと考えてください。

部分的な補修方法は、既存の防水層によって様々なので、まずは防水業者さんに相談してみてください。

トタン・ガルバリウム合板屋根の防水工事をやりたい

トタンやガルバリウム合板屋根の場合、屋根工事業者さんに依頼しましょう。

防水工事業者さんは金属屋根の防水工事はあまり得意ではありません。

屋根工事には、金属屋根工事技士という金属屋根工事の専門技術者が在籍している屋根工事会社に施工を依頼すると安心です。

日本瓦・セメント瓦屋根の防水工事をやりたい

日本瓦やセメント瓦屋根の防水工事の場合も屋根工事業者さんの専門です。

防水工事業者さんは瓦屋根の工事は行っていないと思います。

屋根工事には、瓦屋根工事技士資格者証という屋根工事の管理者の資格を持っている技術者がいる業者さんに依頼すると良いでしょう。

厨房の防水工事をやりたい

出典:https://www.店舗デザインラボ.com/media/dry_kitchen/

厨房の防水工事をやりたい場合、入り組んだ形状の厨房にも施工可能な厨房使用のウレタン防水がおすすめです。

厨房の防水工事は開業前に済ませておきましょう。

オープン後に行う場合は、一定期間の休業や床に付着した油膜の洗浄、厨房機器の移動が必要になる場合があるので、その場合は洗浄・撤去・移動などの費用も必要になってきます。

特に階下にお店がある場合、万が一漏水させてしまうと大変なので、しっかりとした防水工事をしましょう。

厨房や食品工場で使われる床材の要求性能は屋上防水材とは異なり、耐熱性や耐薬品性・耐衝撃性などが要求される。

引用元:HACCPの防水

庭池の防水工事をやりたい

庭池の防水工事には、耐水性・強度・成型性に優れたFRP防水がおすすめです。

庭池や鑑賞池の造園を専門に取り扱っている京阪錦鯉センターでは、防水工事に伴い錦鯉の一時預かりや引越しも請け負ってくれます。

プールの防水工事をやりたい

プールの防水工事には、超速硬化ウレタンやプールコートなどのプール専用の防水や塩ビシート機械固定、FRP防水など、プールの素材や形状の合わせた様々な種類と工法があります。

プールの防水工事は一般的な防水業者ではなく、プール改修工事の実績が豊富で専門的な知識を持っている施工業者さんに相談しましょう。

悪徳業者に騙されたくない!業者選びに失敗しない4つのポイントとは?

失敗しない4つのポイント ポイントの詳細 重要度
見積書は3社以上から取る 見積書の内容が一式の場合は注意して!
分からないことは質問する
どうしてこの工法がいいのか聞いてみる
極端に安い業者はヤバイかも
施工実績、会社概要を確認する 地元で10年以上の実績があれば安心
防水工事を専門的に行っている業者が良い
自社施工をモットーにしている業者が良い
1級防水施工技能士の職人がいれば安心
工事保障やアフターフォローの有無 10年保証付きの防水工事が可能か確認する
定期的に巡回してくれるか確認する
工事保険に加入の有無 施工不良で損害を与えた場合も安心

見積書は3社以上から取る

見積書の内容が一式の場合は注意して!

見積書の内容が「一式 〇〇円」のようなざっくりしたものだと依頼しないほうがいいかもしれません。

しっかりと細かな明細が記載されている見積書を出してもらいましょう。

一式ではどのような防水工事をやろうとしているのかがまったく分かりませんし、見積もりが適正なのかも判断できません。

分からないことは質問する

防水工事の見積りは、専門用語ばかりで分からない部分も多いと思います。

内容が理解できない場合はどんな些細なことでも質問するようにしましょう。

もし、業者さんが適当に答えたり、あやふやな回答に終始する場合はあまり良い業者さんではないので他を見つけた方が良いかもしれません。

分からないことを我慢して後でこんなはずじゃなかった・・というケースが多いので遠慮は禁物です。

どうしてこの工法がいいのか聞いてみる

防水工事に様々な種類と工法があります。

どうしてこの工法を選んだのか分からない場合、その理由を聞いてみることも大切です。

その理由に納得いかない場合や何となく気が進まない場合、無理して工事をお願いする必要はないので、他の業者さんの意見も聞いてみましょう。

極端に安い業者はヤバイかも

悪徳業者の多くは見積りが安い傾向にあります。

業者さんも商売なので赤字になるような仕事は絶対にしないので、他社と比較した時に極端に安い場合はどうして安いのかを必ず聞いてください。

その理由に納得いかない場合や不審に感じた場合はその業者さんには依頼しない方が賢明です。

手抜き工事でもされたら元も子もありません。

施工実績、会社概要を確認する

地元で10年以上の実績があれば安心

地元で長年営業を続けている業者さんで、施工実績も豊富であれば安心ですね。

逆にまだ数年しか実績がない場合は、本当に大丈夫かしっかり調べた方がいいかもしれません。

防水工事を専門的に行っている業者がおすすめ

防水工事を請け負っている業者さんは次の4種類があります。

●防水工事を専門的にやっている業者
●外壁塗装を専門的にやっている業者
●工務店として大工工事を専門的にやっている業者
●住宅メーカーとして住宅の建築を専門的にやっている業者

防水工事を依頼する場合は、防水工事を専門的にやっている業者さんがおすすめです。

その理由は、工務店や住宅メーカーに防水工事を依頼した場合、実際に防水工事をするのは、防水工事を専門的にやっている防水業者さんです。

また、外壁塗装を専門的にやっている塗装業者に防水工事を依頼すると自社で出来る工法は自社でやりますし、出来ない場合は防水工事を専門的にやっている防水業者さんに依頼します。

その結果、中間マージンが発生して割高な防水工事になってしまいます。

自社施工をモットーにしている業者がおすすめ

自社施工とは、防水工事の仕事を引き受けた業者さんが自社でその防水工事を施工することを言います。

自社施工ではない場合、仕事を引き受けた業者さんが「他社」にその仕事を外注します。

つまり、自社では防水工事の施工を行なわず、下請けの業者さんに防水工事の施工を頼むわけです。

この場合も、自社施工と比べると中間マージンが発生するため防水工事の費用が高くなる傾向がありますし、良い工事をやってもらえるのか心配になりますよね。

社内に1級防水施工技能士の職人がいれば安心

防水工事には、塗膜防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水と大きく4種類の工法がありますが、それぞれの工法ごとに防水施工技能士の資格があります。

例えば、シート防水で防水工事を頼んだ場合、シート防水に関する「1級防水施工技能士」の資格を持っている職人さんが在籍していると心強いですよね。

工事保障やアフターフォローを確認する

10年保証付きの防水工事が可能か確認する

防水工事には、防水工事に使用した材料メーカーと施工した業者の連名で保証が受けられます。

必ず10年保証に対応している防水工事をするようにしましょう。

保証期間内に漏水が発生した場合、保証対象であれば無償で対応してくれるので安心です。

注意!基本的には、施工不良や材料に原因がある場合に対応するものであって、台風や地震、経年劣化による漏水の場合は保証対象外になります。

定期的に巡回してくれるか確認する

防水工事完了後にも、定期的に巡回してくれる業者さんもいらっしゃいます。

もし何か問題が起こった場合も直ぐに対応してもらえるので安心です。

このようなサービスを行っている業者さんでしたら悪徳業者のはずがありません。

工事保険に加入している業者さんを選ぼう

施工不良で入居者さんに損害を与えた場合も安心

業者さんのミスで工事期間中に雨漏りが発生して、入居者様の家具や家電がずぶぬれになってしまった事例があります。

そんなトラブルの時にも工事保険に加入していれば、保険を使って保証してもらえるので安心です。

工事現場における不測かつ突発的な事故によって、保険の対象に生じた損害がお支払いの対象となります。例えば、火災・爆発による損害、盗難による損害、作業ミスによる損害等が対象となります。

引用元:お支払いの対象となる主な損害

被害が大きい場合、工事保険に加入していなかった場合、満足のできる保証が受けられない可能性があります。

防水工事の工法についてのQ&A

防水工事の工法についてのQ&Aをご紹介します。

防水工事で火災保険が適応されるケースは?

台風などの強風で物が飛んできて防水層に穴が開いたり剥がれたりした場合に火災保険が適応されるケースがあります。

小さめのベランダの防水工事は何がおすすめ?

10㎡以下の小さなベランダには「ウレタン防水」か「FRP防水」がおすすめです。

ベランダに重たい物を置く場合や少し費用が高くなっても長持ちさせたい場合にはFRP防水が良いでしょう。

まとめ

この記事では防水工事の種類や工法別の対応年数やメリット・デメリットなどをご紹介してきました。

●一番安い防水工事はウレタン防水密着工法
●高くても長持ちさせたいならアスファルト防水トーチ工法
●コスパがいいのは塩ビシート機械固定

ウレタン防水の密着工法なら、1㎡当たり3,500円~5,000円で可能。

とにかく安く防水工事を済ませたい大家さんに最適です。(すでに雨漏りしている物件の場合は通気緩衝工法をおすすめします。)

こんな人におすすめ●1年以内に物件を売却したい
●防水工事にお金をかけたくない
●短い工期で済ませたい

さらに、悪徳業者に騙されないためには「見積書は3社以上から取る」「施工実績、会社概要」も確認することも重要です。

ぜひご参考にしてください。

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