【ウレタン防水のメリット・デメリット】適正単価と正しい施工手順!


ウレタン防水は防水工事の中でも一番安く施工できるため、少しでも費用を抑えたい大家さんには人気の工法です。

そんなウレタン防水のメリット・デメリットを知りたい大家さんも多いはず。

この記事でわかることウレタン防水のメリット・デメリット
● ウレタン防水の適正単価
● ウレタン防水の施工手順

この記事では、ウレタン防水の「メリット・デメリット」の他に、「適正単価」や「施工手順」についても詳しく解説しています。

安価で施工できるため人気の工法ですが、雨漏りしている物件に施工すると雨漏りが止まらないケースもあります。

そのため、ウレタン防水で失敗しないためにもこの記事をチェックしてみてください。

ウレタン防水のメリット・デメリット

ウレタン防水の特徴とメリット・デメリットを解説します。

ウレタン防水とは?

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を複数回塗りつけて乾燥させることで防水膜を形成します。

液体状の材料を使うため、複雑な形状をした場所でも継ぎ目のないシームレスな防水膜を形成できます。

また、ウレタン防水は他の防水工法に比べ、安価に施工できるため費用面にも優れています。

ウレタン防水のメリット・デメリット

ウレタン防水のメリットとデメリットをご紹介します。

ウレタン防水のメリット

1)他の防水工法に比べ、最も安価に施工できる
他の防水工事には、「アスファルト防水」「シート防水」「FRP防水」がありますが、ウレタン防水が最も安価に施工可能です。

2)架台や配管の多い屋上や複雑な形状でも施工可能
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を床面に塗布するため、架台や配管の多い屋上はもちろん、複雑な形状でも施工可能です。

3)防水層が軽量で建物に負荷をかけにくい
ウレタン防水に使用されるウレタン樹脂はとても軽量なので建物に負荷をかけにくく安心です。

4)継ぎ目のないシームレスな防水層が形成可能
液状のウレタン樹脂を塗り広げて防水膜を形成するため、継ぎ目のないシームレスな防水層が形成できます。

ウレタン防水のデメリット

1)手作業のため、職人の技量に品質が左右される
ウレタン防水は手作業でウレタン樹脂を塗り広げていくため、均一に塗り広げていくのが難しく、職人の技量に品質が左右されます。

2)手抜き工事が多い(素人で判断が難しい)
ウレタン防水は施工が簡単なので参入業者も多く手抜き工事のリスクも高いため注意が必要です。

ただし、素人では手抜き工事の判断が難しく、工事完了後に雨漏り等の発生で手抜き工事が発覚するケースが多いようです。

3)5年に1度、トップコートの塗り替えが必要
ウレタン防水は、防水層の劣化を防ぐために一番上に「トップコート」と呼ばれる保護塗料が塗られています。

この保護塗料は5年に一度の塗り替えが必要です。

ウレタン防水の適正単価と施工手順


ウレタン防水の適正単価と施工手順を解説します。

ウレタン防水の適正単価

ウレタン防水には、「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」があります。

適正単価は、

工法 単価(1㎡あたり)
密着工法 3,500~5,000円
メッシュ工法 4,000~5,500円
通気緩衝工法 5,500~7,000円

となります。

ウレタン防水の施工手順

ウレタン防水の工法別の施工手順を解説します。

密着工法の施工手順

1、高圧洗浄
高圧の水を噴射し下地表面の汚れやホコリを取り除きます。

出典:https://www.amenbou.jp/

2、ケレン・清掃
ケレンで下地に残ったゴミや不要な防水層などを撤去します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

3、下地処理
下地のひび割れやクラックなどの補修処理をし、凸凹がある場合は平らにします。

出典:https://www.ame-tec.com/archives/10795/

下地に凹凸があると防水層に厚い個所と薄い個所ができやすく不具合の原因となります。手抜きチェック!

4、改修用ドレンの設置
防水層で受けた雨水を集めて樋へと流します。

出典:https://屋根修理ラボ.com/results/bosui/5283-souka/

5、プライマー(接着剤)塗布
下地と防水材を密着させるためにプライマーを塗布します。

出典:http://machiyane-biwakoohashi.com/blog/160629oothuokuzoubousui.html

プライマー塗布が不充分だと密着性が悪く、膨れなどの不具合が起こりやすくなります。手抜きチェック!

6、パラペット立ち上がりウレタン防水
入隅部分は漏水リスクが高いので丁寧に作業します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

7、ウレタン塗膜下塗り
1層目のウレタン塗膜を適正な厚さで塗布します。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/amamori/work/mannshonnuretanbousui

乾燥時間を短縮して次の上塗り工程に進むと防水性能が著しく低下するため注意が必要です。手抜きチェック!

8、ウレタン塗膜中塗り
2層目のウレタン塗膜を塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

2層目の中塗りの工程を飛ばして、次のトップコートの塗布をする手抜き工事があります。手抜きチェック!

9、トップコート塗布
ウレタン塗膜の劣化を防ぐために保護塗料を塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

トップコートを塗らない場合は紫外線による防水層の劣化が顕著に現れます。手抜きチェック!

10、ウレタン塗膜防水密着工法完了
工程が少ないため3日~5日で完了します。

出典:https://www.sails.tokyo/amamori/works/works_1990/

特徴:
様々な下地の上に施工可能で費用が安いく、複雑な施工場所でも作業ができ、防水層が軽量で建物への負担も少ない。

施工箇所の向き・不向き:
下地と防水層を密着させる工法のため、下地に含まれた雨水や湿気の逃げ道がなく、新しく施工した防水層の膨れ・破断の原因になります。

そのため雨漏りしている建物や古い建物には向いていません。

メッシュ工法の施工手順

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

メッシュ工法は、上記の密着工法の施工手順に、メッシュシートを防水層に追加する工法です。

具体的には、プライマー塗布後にメッシュシートを貼ってからウレタン塗膜の中塗りを行います。

メッシュシートがしっかり入っているか確認しましょう。手抜きチェック!

特徴:
ウレタン防水密着工法と同様ですが、メッシュ工法はさらにシートを追加して防水層を補強しているため、地震による躯体の揺れや衝撃にも強いのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
こちらもウレタン防水の密着工法と同様に、下地と防水層が密着する工法なので雨漏りしている建物や古い建物には避けた方が良い工法です。

通気緩衝工法の施工手順

1、高圧洗浄
細かな汚れやホコリを高圧洗浄で一気に吹き飛ばします。

出典:https://luxst-tosou.com/blog/12299/

2、ケレン・清掃
下地に付着したゴミや既存の防水層を撤去して平坦にします。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2019/0215000542/12010.html

3、下地処理
下地に入った浅いクラックや深い割れなどを丁寧に補修処理をします。
※既存が保護コンクリートの場合は目地を撤去する

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2019/0215000542/12010.html

4、プライマー(接着剤)塗布
防水材を下地にしっかり密着させるためにプライマーを塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

5、通気緩衝シート貼り付け
下地に含んだ雨水や水分を逃がすためのシートをローラーで転圧して貼り付けます。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

6、ジョイントテープを貼る
シートのつなぎ目を無くすためにジョイント部分にテープを貼ります。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

7、改修用ドレンの設置
防水層で受けた雨水を排水します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

8、脱気筒の取り付け
下地に含んだ水分は通気緩衝シートを介して脱気筒から外に排出します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

脱気塔は50㎡~100㎡に1本の割合で勾配の高い位置に取り付けます。手抜きチェック!

9、パラペット立ち上がりウレタン防水
入隅部分は雨水が侵入しやすいため丁寧に作業します。

10、ウレタン防水1層目の塗布
ウレタン防水1層目を塗布していきます。適正な厚さに仕上げるのが重要。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

11、ウレタン防水2層目の塗布
ウレタン防水2層目を塗布していきます。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

12、トップコート塗布
ウレタン塗膜の劣化を防ぐために保護塗料を塗布します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

13、ウレタン塗膜防水通気緩衝工法完了
工事期間は5日~7日ほど必要です。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

特徴:
通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気緩衝シートを設置することで下地の水分を外に逃がすことが出来る工法です。

また地震などの建物の揺れにも強いのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
下地に含んだ雨水や水分を外に逃がすことが出来るため、雨漏りしている建物や古い建物にも安心して施工可能な工法です。

雨漏りしている物件には「密着工法」「メッシュ工法」はNG


すでに雨漏りしている物件の場合、下地に水分が残っているため密着工法やメッシュ工法はNG。

「密着工法」「メッシュ工法」がNGの理由

その理由は、密着工法やメッシュ工法だと下地に残った水分の逃げ道がなく、防水層の膨れの原因にもなります。

雨漏りしている物件には「通気緩衝工法」がおすすめ。

通気緩衝工法であれば、下地に残った水分を脱気筒と呼ばれる通気口から外に排出できるため防水層の膨れを起こしません。

ウレタン防水を長持ちさせるコツは?


ウレタン防水の寿命は一般的に5年から10年程度です。

その寿命を短くするのも、長くするのも日ごろのメンテナンスにかかっています。

定期的なメンテンナンスを行って防水層を長持ちさせましょう。

定期的なドレン掃除

ドレンは防水層と雨樋をつなぐ役割をする装置で、防水層で受けた雨水を樋へと流す役割をしています。

ドレンが詰まると雨水が防水層に溜まって、ひどい場合にはプールのような状態になります。

その結果、防水層の劣化が進み、漏水の危険が高まる可能性があります。

特に建物の周りに木々があったり、屋上で植物を育てている場合は、落ち葉がドレンに詰まりやすいため定期的に掃除しましょう。

5年に1度はトップコートを塗り替える

ウレタン防水の表面には、防水層の劣化を防ぐためにトップコートと呼ばれる保護塗料が塗られています。

このトップコートは5年に1度の塗り替えが推奨されています。

定期的なトップコートの塗り替えをすることで防水層の劣化を防ぎ、防水を長持ちさせましょう。

ウレタン防水をするタイミングは?


ウレタン防水の寿命は10年程度ですが、次にあげる3つの現象が出た場合にはそのタイミングが近づいてきています。

表面のひび割れた目立つ

防水層の表面のひび割れは、防水層を保護しているトップコートの可能性が高いです。

トップコート自体には防水機能はなく、あくまでも防水層を太陽の紫外線から守る役割をしています。

トップコートのひび割れが目立ってきている場合、塗り替えを検討してみてはいかがでしょうか。

一般的には、トップコートの塗り替えは5年ごとが推奨されています。

防水層の浮き・膨れ

防水層の浮きや膨れは、下地に水分が含まれているときに起こりやすい現象です。

浮きや膨れが大きくなってきて、膨張と収縮を繰り返している場合には防水層が破断する可能性もあるため注意が必要です。

一度防水業者に現場を確認してもらって不具合がないか確認してもらうといいでしょう。

また、防水工事を施工してすぐにこのような状態になっている場合には、施工不良の可能性もあります。

防水層の破断

防水層に亀裂や破断がある場合には、すでに雨水が建物内に侵入している可能性が高いので早急に補修する必要があります。

もし、全体的にこのような症状が出ている場合には、ウレタン防水の全面改修も検討しましょう。

ウレタン防水の工事業者の選び方は?


ウレタン防水を請け負っている業者には「建設会社」「工務店」「塗装業者」「防水工事業者」があります。

ウレタン防水工事を依頼するのはどこがいいのか?またその理由も合わせてご紹介します。

防水工事業者がおすすめ

ウレタン防水を請け負っている中で防水工事を専門的に行っているのは、「防水工事業者」だけです。

そのため、ウレタン防水を依頼するなら防水工事業者がおすすめです。

1級防水工事施工技能士が在籍している業者がおすすめ

ウレタン防水は、職人の技量によって品質に大きな差が生まれます。

また、手抜き工事も多い工法のため、ウレタン防水に関する「1級防水施工技能士」が在籍している業者を選びましょう。

一級防水施工技能士は、国家資格である技術検定の一種で、専門的な知識と技量を持っていないと取得できません。

まとめ

「ウレタン防水のメリット・デメリット」「ウレタン防水の適正単価」「ウレタン防水の施工手順」などをご紹介しました。

内容をまとめると、

・他の防水工法に比べ、最も安価に施工できる
・手抜き工事が多いので業者選びは慎重にする
・すでに雨漏りしている建物には「通気緩衝工法」を採用する

という3点がポイントでしたね。

当サイトでは、地域ごとに防水専門業者さんをまとめていますので、「都道府県ごとの業者一覧」もチェックしてみてください。

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