【防水工事のやり方や流れ】正しい施工手順を写真で紹介!


「防水工事は高い出費だし、手抜き工事されたら嫌なので基本的な施工手順は理解しておきたい」と考えている大家さんも多いはず。

というのも、防水工事は、「材料や塗る回数のごまかし」や「乾燥時間の短縮」「防水シートの繋ぎ目や端部の接着が適当」など、多くの手抜き工事があるからです。

そのため、防水工事をする前に基本的な施工手順を理解することはもちろん、手抜き工事されないための事前準備をすることが大切です。

この記事でわかること●防水工事の基本的なやり方や流れ
●ありがちな手抜き工事のチェックポイント
●手抜き工事されないための事前準備

この記事では、基本的な防水工事のやり方や流れ、ありがちな手抜き工事のチェックポイントなどについて解説しています。

「高額な出費をしたのに手抜き工事された・・」なんて想像したらゾッとしますよね。

そんなことを避けるためにも、この記事を読んで「手抜き工事されないための事前準備」を行いましょう。

防水工事の種類一覧

防水工事は大きく、「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」の4つの種類に分けることができます。

防水の種類 特徴 手抜き危険度
ウレタン防水 最も安価で施工場所を選ばない 高い
シート防水 費用対効果が最も優れている 普通
アスファルト防水 最も古い防水工法で防水性能も高い 低い
FRP防水 軽量かつ強靭で施工期間が最も短い やや高い

それぞれの防水工事のやり方と流れを写真付で詳しくご紹介します。

特に「手抜きチェック!」の印がある工程は手抜きされやすいポイントになっているので、しっかり確認してください。

ウレタン防水のやり方と流れ

まずはじめにウレタン防水のやり方と流れを解説いたします。

実は、防水工事の中でもウレタン防水が一番手抜き工事されやすいので、ウレタン防水を検討中の方は特に注意してください。

ウレタン防水には、「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」の3つの工法があります。

それぞれの特徴や手抜き工事のチェックポイントをご紹介します。

密着工法

1、高圧洗浄
高圧の水を噴射し下地表面の汚れやホコリを取り除きます。

出典:https://www.amenbou.jp/

2、ケレン・清掃
ケレンで下地に残ったゴミや不要な防水層などを撤去します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

3、下地処理
下地のひび割れやクラックなどの補修処理をし、凸凹がある場合は平らにします。

出典:https://www.ame-tec.com/archives/10795/

下地に凹凸があると防水層に厚い個所と薄い個所ができやすく不具合の原因となります。手抜きチェック!

4、改修用ドレンの設置
防水層で受けた雨水を集めて樋へと流します。

出典:https://屋根修理ラボ.com/results/bosui/5283-souka/

5、プライマー(接着剤)塗布
下地と防水材を密着させるためにプライマーを塗布します。

出典:http://machiyane-biwakoohashi.com/blog/160629oothuokuzoubousui.html

プライマー塗布が不充分だと密着性が悪く、膨れなどの不具合が起こりやすくなります。手抜きチェック!

6、パラペット立ち上がりウレタン防水
入隅部分は漏水リスクが高いので丁寧に作業します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

7、ウレタン塗膜下塗り
1層目のウレタン塗膜を適正な厚さで塗布します。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/amamori/work/mannshonnuretanbousui

乾燥時間を短縮して次の上塗り工程に進むと防水性能が著しく低下するため注意が必要です。手抜きチェック!

8、ウレタン塗膜中塗り
2層目のウレタン塗膜を塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

2層目の中塗りの工程を飛ばして、次のトップコートの塗布をする手抜き工事があります。手抜きチェック!

9、トップコート塗布
ウレタン塗膜の劣化を防ぐために保護塗料を塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

トップコートを塗らない場合は紫外線による防水層の劣化が顕著に現れます。手抜きチェック!

10、ウレタン塗膜防水密着工法完了
工程が少ないため3日~5日で完了します。

出典:https://www.sails.tokyo/amamori/works/works_1990/

特徴:
様々な下地の上に施工可能で費用が安いく、複雑な施工場所でも作業ができ、防水層が軽量で建物への負担も少ない。

施工箇所の向き・不向き:
下地と防水層を密着させる工法のため、下地に含まれた雨水や湿気の逃げ道がなく、新しく施工した防水層の膨れ・破断の原因になります。

そのため雨漏りしている建物や古い建物には向いていません。

メッシュ工法

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

メッシュ工法は、上記の密着工法の施工手順に、メッシュシートを防水層に追加する工法です。

具体的には、プライマー塗布後にメッシュシートを貼ってからウレタン塗膜の中塗りを行います。

メッシュシートがしっかり入っているか確認しましょう。手抜きチェック!

特徴:
ウレタン防水密着工法と同様ですが、メッシュ工法はさらにシートを追加して防水層を補強しているため、地震による躯体の揺れや衝撃にも強いのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
こちらもウレタン防水の密着工法と同様に、下地と防水層が密着する工法なので雨漏りしている建物や古い建物には避けた方が良い工法です。

通気緩衝工法

1、高圧洗浄
細かな汚れやホコリを高圧洗浄で一気に吹き飛ばします。

出典:https://luxst-tosou.com/blog/12299/

2、ケレン・清掃
下地に付着したゴミや既存の防水層を撤去して平坦にします。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2019/0215000542/12010.html

3、下地処理
下地に入った浅いクラックや深い割れなどを丁寧に補修処理をします。
※既存が保護コンクリートの場合は目地を撤去する

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2019/0215000542/12010.html

4、プライマー(接着剤)塗布
防水材を下地にしっかり密着させるためにプライマーを塗布します。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2017/03

5、通気緩衝シート貼り付け
下地に含んだ雨水や水分を逃がすためのシートをローラーで転圧して貼り付けます。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

6、ジョイントテープを貼る
シートのつなぎ目を無くすためにジョイント部分にテープを貼ります。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

7、改修用ドレンの設置
防水層で受けた雨水を排水します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

8、脱気筒の取り付け
下地に含んだ水分は通気緩衝シートを介して脱気筒から外に排出します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

脱気塔は50㎡~100㎡に1本の割合で勾配の高い位置に取り付けます。手抜きチェック!

9、パラペット立ち上がりウレタン防水
入隅部分は雨水が侵入しやすいため丁寧に作業します。

10、ウレタン防水1層目の塗布
ウレタン防水1層目を塗布していきます。適正な厚さに仕上げるのが重要。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

11、ウレタン防水2層目の塗布
ウレタン防水2層目を塗布していきます。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

12、トップコート塗布
ウレタン塗膜の劣化を防ぐために保護塗料を塗布します。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

13、ウレタン塗膜防水通気緩衝工法完了
工事期間は5日~7日ほど必要です。

出典:https://www.nakamorikogyo.com/

特徴:
通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気緩衝シートを設置することで下地の水分を外に逃がすことが出来る工法です。

また地震などの建物の揺れにも強いのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
下地に含んだ雨水や水分を外に逃がすことが出来るため、雨漏りしている建物や古い建物にも安心して施工可能な工法です。

シート防水のやり方と流れ


シート防水には、密着工法、機械固定工法の2つの工法があります。

それぞれの特徴や施工箇所の向き不向きも合わせてご紹介します。

密着工法

1、高圧洗浄
ゴミや砂、ホコリなどを除去して清掃する。

出典:https://kitapen.jp/blog/13874/

2、下地処理
凸凹がある場合は平らに整える。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

3、改修用ドレンの設置
防水層と雨樋をつないで雨水を排出する役割をします。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

4、プライマー(接着剤)塗布
下地とシートを接着させるためのプライマーを塗布する。

出典:https://www.ame-tec.com/archives/10201/

5、シートの貼り付け
シートにしわや空気が入らないようにローラーなどでしっかり転圧する。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

転圧が不充分だと下地との密着性が悪く膨れの原因になります。手抜きチェック!

6、シートの接合
溶剤融着又は熱融着でシートの接合部分を溶かして接着接合する。

出典:http://a-sin.biz/publics/index/40/

※溶剤融着は溶剤を使ってシートの表面を溶かして接着させること
※熱融着は熱風溶接機を使ってシートの表面を溶かして接着させること

シートのつなぎ目に接着不良があると雨水が簡単に侵入します。手抜きチェック!

7、接合末端部をシール
シール材を使ってシートのつなぎ目を保護します。

出典:http://a-sin.biz/publics/index/40/

シートのつなぎ目をシール材で処理することで接着部分を保護します。手抜きチェック!

8、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けと笠木の新設を行います。

出典:https://gaihekishinwa-suita.com/blog/8886.html

9、シート防水密着工法の完成
工事完了まで4日~7日ほど必要です。

出典:https://www.sails.tokyo/amamori/works/works_7560/

特徴:
シート防水の材質は塩ビとゴムの2種類がありますが、いずれも密着工法は単層防水のため施工期間が短く低コストが魅力です。

塩ビシートは紫外線に対し優れた耐久性持つ防水材で軽歩行OKのシートもあります。

ゴムシートは収縮性に優れていて、地震等の揺れに強い素材ですが鳥害による穴空きの心配があります。

施工箇所の向き・不向き:
空調設備や室外機などの架台が多く複雑な形状での施工には不向きです。

機械固定工法

1、下地処理と確認
大きな凸凹は補修して平らにし、樹脂アンカーやビスの引き抜き試験を行い下地の強度を確認する。

2、絶縁用シートを敷く
シートにしわやヨレのないように敷きつめてジョイント部はテープで貼ります。

出典:https://www.ikedatosou.com/uretanbousui/

3、固定金具の取り付け
シートの割付や風荷重を考慮して固定金具を取り付ける。
※下地コンクリートにドリルで穴を開けて取付るため大きな音がします

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

事前に下地コンクリートの強度を測定します。強度が弱いと台風でシートが剥がれて飛ばされることもあります。手抜きチェック!

4、改修用ドレン設置
雨水を排出する部分なの慎重に取り付ける必要があります。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

5、シートの貼り付け
シートの歪みやたるみが出ないようにシートを固定金具に熱溶着または溶剤溶着する。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

6、シートの接合
接合幅は40mm以上で熱溶着または溶剤溶着する。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

7、接合末端部をシール
シール材を用いてすべての接合部分をシールする。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

8、脱気筒の取り付け
下地に含んだ水分は絶縁用シートを介して脱気筒から外に排出します。
※シートによっては脱気筒が不要なケースもあります

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

9、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けて笠木を新設します。

10、シート防水機械固定工法の完成
工事完了までにおおよそ5日~8日ほどの期間が必要です。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

特徴:
固定ディスクを使って防水シートを下地に固定する工法です。

基本的には既存防水層を撤去せずに上から被せることができるので廃棄処理のコストや工期の短縮がはかれます。

雨漏りで下地に湿気を含んでいる場合でも施工可能です。

また下地の挙動にも強く万が一下地コンクリートがひび割れしても、防水層の破断に繋がりにくいのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
密着工法同様に、架台が多く複雑な形状では施工が難しいです。

アスファルト防水のやり方と流れ


アスファルト防水には、「熱工法」「トーチ工法」「冷工法」の3つの工法があります。

それぞれの特徴や施工箇所の向き不向きも合わせてご紹介します。

熱工法

1、下地清掃
下地の汚れやゴミを取り除く。

2、下地処理
不陸調整などの下地処理をする。

3、改修用ドレンの設置
改修用ドレンの設置を行う。

4、プライマー(接着剤)塗布
下地乾燥後にプライマーを刷毛で塗布する。

出典:http://itec-k.co.jp/services/as

5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がり部にアスファルトルーフィングシート貼り付け

出典:http://nihonbousui.co.jp/contents001/

6、アスファルトルーフィングシート貼り付け
アスファルトルーフィングシートに溶融したアスファルトを流しながら張り合わせます。
※角やコーナーは強度を高めるために増し張りします

7、アスファルト塗り
溶融したアスファルトをシートに塗り付けます。

出典:http://nihonbousui.co.jp/contents001/

8、アスファルト防水熱法の完成
工事完了までに8日~12日ほどかかります。

出典:http://nihonbousui.co.jp/

特徴:
アスファルト防水の熱工法は、加熱して溶融したアスファルトを使ってアスファルトルーフィングシートを2~4枚積層することで、丈夫で水密性に優れた強固な防水層を作る工法です。

ただし、アスファルトを溶融する際に、220度~270度の高温で加熱するため、煙やにおいの問題や作業員のやけどや火災のリスクもあるため、防水工事の改修工事ではあまり使われない工法です。

施工箇所の向き・不向き:
アスファルトを溶融するときに臭いや煙が発生するため、密集している場所には不向きです。

トーチ工法

1、下地清掃
下地をきれいに清掃してゴミなどを取り除く。

2、下地処理
不陸調整を行い平らに整える。

3、改修用ドレンの設置
防水層にたまった雨水を排水する部分なので慎重に設置します。

4、プライマー(接着剤)塗布
十分に乾燥させてからローラー刷毛や手刷毛でプライマーを塗布する。

出典:https://bousui-association.jp/example7/

5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けます。

出典:https://bousui-association.jp/example7/

6、アスファルトシートの貼り付け
トーチバーナーでシート裏面と下地をあぶり、アスファルトを溶解させ張り合わせます。
※角やコーナーは強度を高めるために増し張りします

出典:https://bousui-association.jp/example7/

トーチバーナーの炙りが足りないと接着不良の原因にになります。手抜きチェック!

7、トップコートの塗布
防水層を紫外線や雨風から守るためにトップコートを塗布します。

出典:https://bousui-association.jp/example7/

8、アスファルト防水トーチ工法の完成
工事完了までに7日~10日ほどかかります。

出典:http://polymer-kogyo.jp/publics/index/76/

特徴:
アスファルトを染み込ませたアスファルトルーフィングシート裏面をトーチバーナーであぶり溶かして下地と接着させる工法です。

シート同士を隙間なく接着することができるので防水性も高く、衝撃にも強いため長期間防水層を維持することが可能です。

施工箇所の向き・不向き:
複雑な場所や架台の多い場所への施工には向いていません。

常温工法

1、下地清掃
下地に残ったゴミを取り除き清掃する。

2、下地処理
勾配をなくして平らにする。

3、改修用ドレンの設置
雨水を排出する改修用ドレンを設置する。

4、プライマー(接着剤)塗布
シートの密着を高めるために乾燥後にプライマーを塗布する。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がり部に改質アスファルトシートを貼り付けます。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

6、改質アスファルトシートの貼り付け
自着層(剥離紙を剥がすことで下地に密着させるもの)を剥がして下地に貼り付けます。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

7、シートの繋ぎ目をシール
シートの貼り合わせ部分をシール材で充填します。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

8、トップコートの塗布
防水層の保護目的としてトップコートを塗ります。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

9、アスファルト防水常温工法の完成
工事完了までに5日~7日ほどかかります。

出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html

特徴:
ルーフィングシートに自着層を持たせることで剥離紙を剥がすだけで下地に密着させることができるため、熱を使わなくても防水層を形成することが可能です。

施工箇所の向き・不向き:
トーチ工法と同様に、複雑な場所や架台の多い場所は避けた方が良いでしょう。

熱工法、トーチ工法、常温工法にはそれぞれ「密着工法」と「絶縁工法」があります。密着工法は下地にクラックが発生した場合、防水層も破断する危険がありますが、絶縁工法では、下地と防水層が部分的に離れているためクラックなどの影響を受けにくい特徴があります。ポイント!

FRP防水のやり方と流れ

出典:http://www.daiguji23.com/menu/frp%E9%98%B2%E6%B0%B4

FRP防水とは繊維強化プラスチックの略称で、耐水性・耐衝撃性・耐摩耗性に優れていることから、大型量販店の屋上や浄化槽、プールなどにも使われています。

FRPは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの強化材(補強材)で補強されたプラスチック、という意味です。
引用元:FRPについて

1、高圧洗浄
下地に付着した汚れを高圧洗浄でしっかり洗い流します。

2、ケレン・清掃
ケレンで下地に残った塗膜などを削り落としていきます。

3、下地処理
下地にひび割れ等がある場合には丁寧に補修します。

4、改修用ドレンの設置
雨水の逃げ道となる改修用ドレンを設置します。

5、プライマー(接着剤)塗布
下地とFRP防水材の密着度を高めるためにプライマーを塗布します。

出典:https://www.prootech.co.jp/menu/frp%E9%98%B2%E6%B0%B4

6、ガラスマット貼りと樹脂の塗布(1層目)
FRP防水用のガラスマットを貼り付けてFRP樹脂を塗布し密着させます。

出典:https://www.prootech.co.jp/menu/frp%E9%98%B2%E6%B0%B4

8、中塗り(2層目)
余分なFRPガラスマットを削り落として中塗りをします。

出典:https://www.prootech.co.jp/menu/frp%E9%98%B2%E6%B0%B4

2層目の中塗りの工程を飛ばして、次のトップコートを塗布する手抜き工事があります。手抜きチェック!

9、トップコート塗布
FRP防水の劣化を防ぐ目的で保護塗料を塗布します。

出典:http://www.yaneyasan.net/blog/

10、FRP防水完了
塗膜の乾燥を待つ工程が少ないため2日~3日で完了します。

出典:https://www.prootech.co.jp/menu/frp%e9%98%b2%e6%b0%b4

特徴:
高い防水性(水密性)を持っていて、屋上駐車場にも使用されるほど丈夫で軽量で、他の防水工事に比べ工期が短いのも特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
FRPはガラス繊維のプラスチックのため、伸縮性があまりないので地震などによる建物の揺れには弱いと言われています。

いかがでしょうか?ご紹介しました防水工事の種類と特徴、手抜きのチェックポイントや危険度をまとめてみたのでもう一度確認してみてください。

防水の種類 特徴 手抜きのチェックポイント 手抜き危険度
ウレタン防水 最も安価で施工場所を選ばない 2層目の中塗りの工程は行っているか 高い
シート防水 費用対効果が最も優れている シートつなぎ目の接着はできているか 普通
アスファルト防水 最も古い防水工法で防水性能も高い トーチバーナーの炙り不足はないか 低い
FRP防水 軽量かつ強靭で施工期間が最も短い 2層目の中塗りの工程は行っているか やや高い

ウレタン防水とFRP防水が手抜きされやすいのが分かりますね。

どちらも塗膜防水と呼ばれる防水ですが、2回塗りを1回塗りでごまかす手抜き工事が多いようです。

どちらも最後にトップコートを塗ってしまうと手抜きの判断がつかないので、特にこれらの工法を検討されている大家さんは気を付けてください。

ウレタン防水の方が危険度が高いのは、施工が簡単なので知識や技術の低い業者でも施工できるためです。

屋上防水を長持ちさせるための秘訣


屋上防水を長持ちさせるためにも以下にご紹介する5つに注意する必要があります。

・定期的にルーフドレンの点検を行う
・変色したらトップコートを塗り替える
・膨れやひび割れは補修する
・シートの破れやめくれは即対応する
・状況次第では部分補修で対応する

それでは詳しくご紹介させていただきます。

定期的にルーフドレンの点検を行う

出典:http://machiyane-shunan.com/column/haisuikou20190426.html

ルーフドレンは、屋上やベランダ、バルコニーに設置された雨水の排出や落ち葉などのゴミを集めるための金物です。

ルーフドレンにゴミが蓄積すると排水不良を起こして常に水がたまった状態になり、鉄製鋳物で作られていることが多いので、水がたまった状態が続くと錆が進行して劣化します。

その結果、ルーフドレンと防水層のジョイント部分も劣化し隙間ができ、そこから雨水が侵入するケースが増えています。

そんな事態を避けるためにも1年に1回位はルーフドレンの点検を行って、ゴミや泥がたまっていないか確認することをおすすめします。

変色が起こったらトップコート塗り替え時期

出典:https://gaiheki-tosou-reform.com/urethane-top-coat/

トップコートの役割は、防水層を紫外線から守るために塗られています。

トップコートに変色がある場合は劣化が進んでいる状態なのでトップコートの塗り替え時期ですが、おおよそ5年に一度の塗り替えが推奨されています。

特に、ウレタン防水の場合は紫外線による劣化が進みやすいため注意が必要です。

膨れやひび割れが目立つようなら補修が必要

出典:https://www.bousuiichiba.com/news/example/284.html

防水層の膨れやひび割れも劣化が進行している合図です。

防水層の膨れが大きくなると亀裂や穴開きが生じやすくなるため、あまりにも目立つようになってきた場合、補修を検討しましょう。

シートの破れやめくれは即対応

出典:https://yukalog.org/first-aid-to-learn-in-3-minutes/

防水シートの破れや接合部・端部のめくれを発見した場合、早急に補修しましょう。

すでに雨水が侵入している可能性が高いと思われます。

そのまま放っておくと雨水が建物内に侵入し、鉄部の錆やコンクリートの爆裂などのダメージを与えます。

そんな事態を避けるためにも、早急に対応して雨水の侵入を防ぎましょう。

状況によっては部分補修でも大丈夫

出典:http://www.bousuiichiba.com/news/example/313.html

ウレタン防水やFRP防水のような塗膜防水の場合、状況によっては劣化した部分に再度防水材を塗り重ねることが出来るため、部分補修で対応できる場合もあります。

劣化部分が大きかったり状態が悪い場合、部分補修をしてもまたすぐに状態が悪くなるため全体改修をおすすめします。

シーリング工事のやり方と流れ


シーリングは建物の外壁や屋上部分などの小さな隙間から雨水が侵入するのを防ぐための工事です。

以下では、シーリング工事の内容や手順などをご紹介させていただきます。

シーリング工事とは?

シーリング工事は建物の外壁のボードのつなぎ目にできた隙間やサッシの隙間をシーリング材で埋めるための工事です。

シーリングの目的は大きく4つ。

クッション(緩衝材)としての役割

外壁にサイディングボードを使用する場合、何枚も貼り合わせる必要があります。

サイディングボードは地震や強風による建物の揺れや寒暖差によって生じる膨張・収縮によってひび割れや破損を起こす可能性があります。

それを避けるために、サイディングボードの間に目地と呼ばれる隙間を作り、クッション(緩衝材)としての役割を持ったシーリング材を充填し、サイディングボードの破損を防ぎます。

その他にも、外壁と窓サッシ、浴槽と壁などの建材間の衝撃をやわらげる役割もあります。

雨水の侵入を防ぐ

サイディングボードやALCパネルを使った外壁の場合、ボード間に隙間が生じ雨水が侵入するため、ボード間に目地を作り、シーリング材を充填することで雨水の侵入を防ぎます。

防水工事に関しては、「防水シート同士のジョイント部分」や「パラペット上部の笠木のつなぎ目」などにシーリング処理をすることで雨水の侵入を防ぎます。

補修に使う

金属屋根の劣化による穴開きや外壁やコンクリートのクラック(ひび割れ)などにシーリング材を埋め込んで雨水の侵入を防ぐ補修を行います。

クラックが大きい場合、「Uカット」「Vカット」を行い、クラック部分を大きめにカットしてからシーリング材を充填させます。

建材の固定としての役割

屋根工事では棟板金(むねばんきん)を釘で固定しますが、釘が抜け落ちて棟板金が飛ばされるのを防ぐ目的で釘の上からシーリング処理するケースもあります。

また、屋根の瓦が地震や強風などでズレたり落下しないようにシーリング材で瓦を動かないように固定する工法もあります。

シーリング材の種類

出典:https://www.cemedine.co.jp/architecture/sealant/type2/index.html

シーリング材の種類は大きく1成分形と2成分形の2つのタイプがあります。

シーリング材は建築物その他の防水性・気密性を目的とする防水材料です。

引用元:シーリング材|塗料いろいろ

1成分形は空気中の水分や酸素などに反応して硬化するタイプで2成分形はシーリング材の主成分に硬化剤を混ぜ合わせることで硬化する(混合反応硬化型)タイプになります。

1成分形はそのまま使える手軽さがありますが、2成分形は主剤と硬化剤を混ぜる必要があるので、配合や攪拌によって効果不足やムラが生じる可能性があります。

そのため、1成分形のほうを使うケースが多いですが、配合や拡販に気を付ければ2成分形のほうが耐久性に優れていると言えます。

さらに、1成分形、2成分形の中には7種類の主成分があります。

7種類の主成分

主成分の種類 特徴
アクリル系 作業性に優れ価格は安いが対候性・耐久性が低いため改修には不向き。
ウレタン系 耐久性に優れている反面対候性が低いため塗装で保護する必要がある。
ポリウレタン系(ノンブリードタイプ) 耐熱性・対応性は低いが目地周辺の非汚染性(ノンブリード)に優れている。
シリコン系 対候性・耐熱性に優れていて価格も安いが目地周辺が汚れやすく上から塗装は出来ない。
変成シリコン系 耐熱性・対候性は良好で硬化後に上からの塗装も可能。柔軟性があるためムーブメントの大きい金属類にも使用可能。
油性コーキング系 シーリング材の原型。表面被膜を形成するが内部は硬化しない。
ポリサルファイド系 耐熱性も良く表面にゴミやホコリもつきにくいが柔軟性はあまりないためムーブメントの大きい金属類には適さない。

※ムーブメントは「運動」を意味していて、目地は温度変化による壁材の収縮や地震による揺れや強風などのムーブメントが発生する部分です

シーリング工事の手順

シーリング工事の施工手順をご紹介させていただきます。

1、 目地にカッターを入れて痛んだシーリング材を撤去する
2、 バックアップ材の装てん
3、 シーリング材が壁につかないようにテープで養生する
4、 目地にプライマー(接着剤)を塗る
5、 シーリングを奥まで充填する
6、 ヘラで慣らして隙間を埋める
7、 乾燥させて完了

シーリング工事の注意点

シーリング工事の注意点は大きく3つ。

・シーリング材の有効期限の確認
・雨天時や寒い季節は避ける
・現場に適したシーリング材を使う

注意点に気を付けて施工する事で対応年数を伸ばすこともできるのでチェックしてください。

シーリング材の有効期限を確認する

意外といい加減に管理している業者もいるので、シーリング材の有効期限は確認する方が良いでしょう。

期限切れのシーリング材を使用すると耐久性も悪くなってしまいます。

雨天時や寒い季節は避ける

一般的には気温15度~25度、湿度80%未満で曇りで無風が良いとされていますが、逆に業者の立場になると低温や雨に関係なく予定通りに工事を進めたいのが本音です。

しかし無理に工事を進めた結果、耐久性の低下などの問題が出ると嫌なので事前に話し合っておく方が良いでしょう。

現場に適したシーリング材を確認する

シーリング材には様々な種類があって、施工場所の条件に合うものを選ぶ必要があります。

例えば、「アクリル系」は固まると弾性体になり湿った箇所にも使用可能ですが、耐久性が悪いため改修工事は向いていません。

反対に「ウレタン系」は耐久性が非常に高く硬化すると弾力性、密着性に優れているため外壁の補修にはよく使われます。

長尺シート工事のやり方と流れ


マンションやアパートの廊下や階段などの共用部には、耐久性・遮音性・汚防性に優れた長尺シートを施工するのが一般的です。

以下では、長尺シートのメリットや施工手順などをまとめています。

長尺シート工事とは?

マンションの廊下や階段などの共用部分で採用されるプラスチック製のシートを貼る工事です。

長尺シートを施工する事で廊下を歩く足音の軽減や雨の日でも滑りにくいなどのメリットがあります。

長尺シートのメリット

長尺シートのメリットをご紹介します。

音が響かない(遮音効果)

入居者の方にとって気になるのが歩行音。

特に就寝時にコツコツ歩く足音は嫌なものですが、長尺シートはクッション性に優れているので足音もかなり軽減されます。

滑りにくい(防滑性能)

雨で長尺シートが濡れてしまっても滑りにくい凸凹の防滑加工を施しているので滑りにくく、転倒のリスクを軽減することが可能です。

汚れが付きにくい(防汚加工)

長尺シートには汚れが付きにくい防汚加工が施されているので汚れにくいですし、通常の汚れであれば簡単に落とすことが出来るため掃除も簡単です。

長時間の通行止めが不要

床を塗装する場合は半日ほど入居者の通行止めをする必要がありますが、長尺シートなら数時間の規制で大丈夫です。

雨水の侵入を防ぐ(防水性能)

共用部の廊下や階段では雨の吹き込みによって雨水が侵入することがありますが、長尺シートには雨水の侵入を防ぐ防水性のを持たせているので安心です。

長尺シート工事の手順

長尺シートの施工手順をご紹介させていただきます。

1、 既存の長尺シートを剥がす
2、 モルタルを塗って素地面を整える
3、 側溝に防水塗料を塗る
4、 長尺シートを貼る
5、 シートの側面にシーリングを埋めて施工完了

防水工事のやり方や流れについてのQ&A

防水工事のやり方や流れについてのQ&Aをご紹介します。

施工中の写真や作業内容を報告してくれますか?

すべての防水業者が施工中の写真や作業内容を報告してくれるとは限りません。

そのため防水工事を依頼する前に確認するのが良いでしょう。

屋上防水を自分でやることは可能ですか?

トップコートの塗り替えぐらいでしたら可能ですが、防水層からやる場合には防水工事業者に依頼するのがおすすめです。

特に雨漏りしている場合は自分でやるのは避けましょう。

まとめ

「凹凸などの下地処理」「ウレタン防水の2度塗り」「シートのつなぎ目の処理」などが手抜き工事のチェックポイントでしたね。

手抜き工事されないためには、「工事完了報告書」と「材料出荷証明書」で確認することが大切です。

そのため、見積もりをお願いするときに、2つの発行が可能かどうかを事前に業者さんに聞いてみてください。

また、この段階であからさまに嫌な態度をするような業者であれば正直言って良心的な業者さんとは思えないのでお断りしましょう。

当サイトでは、地域別に工事完了報告書や材料出荷証明書の発行にも積極的な業者さんをまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。

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