【シート防水の特徴は?】メリット・デメリットと適正単価をご紹介!


シート防水は耐久性に優れ、工期も短いことから屋上の防水工事でも多く採用されている工法です。

そんなシート防水の特徴を知りたい大家さんも多いはず。

この記事でわかることシート防水の特徴
● シート防水のメリット・デメリット
● シート防水の適正単価

この記事では、シート防水の「特徴」の他に、「メリット・デメリット」「適正単価」にいても詳しく解説しています。

耐久性に優れ、工期も短い工法ですが、施工の際に大きな音が発生するデメリットもあります。

そのため、シート防水で失敗しないためにもこの記事をチェックしてみてください。

シート防水の特徴は?


シート防水は名前の通り、塩化ビニールやゴムで形成されたシートを床面に貼り付ける防水工法です。

工場で製造されたシートを床面に敷き詰めることで防水層を形成するため、職人の技量による品質の低下が起こりにくいのが特徴です。

特に塩ビシート防水は紫外線による劣化にも強く、対応年数が長いので費用対効果の良い防水工法です。

また、ウレタン防水のような「何度も塗り重ねる手間」や「乾燥時間」が必要ないので工期も比較的短くすみます。

シート防水のメリット・デメリット


シート防水のメリット・デメリットを解説します。

シート防水のメリット

1)ウレタン防水より長持ちする

シート防水はウレタン防水などの塗り防水に比べると対応年数が長く長持ちします。
具体的には、ウレタン防水の対応年数が8年~12年ほどですが、塩ビシート防水なら15年くらいの対応年数になります。

2)工期が短い

防水工事の種類 工期
シート防水 2~5日
ウレタン防水 4~10日
アスファルト防水 5~7日
FRP防水 2~3日

※面積、下地処理等で日数は変動します

シート防水は工場で製造したシートを一気に敷き詰めることで施工できるため、他の防水工事に比べると施工期間が短く済むのがメリットです。

設置面積にもよりますが、おおよそ3~5日の短い期間で施工可能です。

そのため、ウレタン防水やFRP防水のような、手作業で塗料を塗る防水工事は施工期間も長くなる傾向にあります。

3)既存の下地を選ばずに施工可能

シート防水は工場で製造されたシートを下地に被せて防水層を形成します。
そのため、既存の防水層を撤去せずに、その上から施工できるため下地を選ばずに施工可能です。

ただし、下地の全面撤去は必要ありませんが、部分的な補修や撤去は必要になることがあります。

4)職人の技量に左右されにくい

ウレタン防水やFRP防水は手作業で塗料を塗るため職人の技量によっては、凸凹や膜厚が足りないなどの問題が出るケースがあります。

しかし、シート防水は工場で製造されたシートを敷き詰めるので凸凹や膜厚の心配もありません。

そのため、安定した品質が確保できるため職人の技量による品質の低下も起こりにくいのがメリットです。

5)メンテナンスフリー

シート防水には「塩ビシート防水」と「ゴムシート防水」がありますが、塩ビシート防水の場合、基本的にはメンテナンスフリーです。

ウレタン防水、FRP防水などの塗膜防水やゴムシート防水は、5年~8年に1度、メンテナンスとしてトップコートの塗り替えが必要です。

シート防水のデメリット

1)複雑な形状には施工できない

シート防水は、シートを敷きにくい複雑な形状はもちろん、架台や配管が多い場所には不向きです。

シート防水は横幅1メートルほどに加工されたロール状の既製品のシートなので、細かいサイズ調整ができません。

複雑な形状に合わせて、無理にシート防水を施工してもシート同士のつなぎ目から雨水が侵入するリスクがあります。

そのため、複雑な形状にはウレタン防水を検討しましょう。

2)工事中に大きな騒音が出る

シート防水には密着工法と機械固定工法がありますが、ほとんどの改修工事では機械固定工法が採用されています。

この工法の場合、下地に金物を取り付けてその上からシートを固定する際にドリルを使うので下の階に大きな騒音が発生します。

そのため、事前に入居者への案内が必須になります。

入居者とのトラブルを避けるためにも、工事前のあいさつ・作業時間の案内などを丁寧にしてくれる業者を選びましょう。

3)施工できる業者が少ない

シート防水の施工は専門的な知識と経験が必要になるため、施工できる業者が限られます。

塗装業者の多くはシート防水の知識や経験がないので施工できないケースがほとんどです。

シート防水を依頼するなら、専門的な知識と経験が豊富な「防水工事業者」が安心です。

事前にシート防水の施工実績をきちんと確認してから依頼しましょう。

シート防水の適正単価と施工手順


シート防水の適正単価と施工手順を解説します。

シート防水の適正価格

シート防水には、「密着工法」「機械固定工法」があります。

適正単価は、

工法 単価(1㎡あたり)
密着工法 4000円~5000円
機械固定工法 5000円~7500円

となります。

シート防水の施工手順

シート防水の施工手順を解説します。

密着工法の施工手順

1、高圧洗浄
ゴミや砂、ホコリなどを除去して清掃する。

出典:https://kitapen.jp/blog/13874/

2、下地処理
凸凹がある場合は平らに整える。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

3、改修用ドレンの設置
防水層と雨樋をつないで雨水を排出する役割をします。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

4、プライマー(接着剤)塗布
下地とシートを接着させるためのプライマーを塗布する。

出典:https://www.ame-tec.com/archives/10201/

5、シートの貼り付け
シートにしわや空気が入らないようにローラーなどでしっかり転圧する。

出典:http://www.mori-proofing.co.jp/archives/date/2016/11

転圧が不充分だと下地との密着性が悪く膨れの原因になります。手抜きチェック!

6、シートの接合
溶剤融着又は熱融着でシートの接合部分を溶かして接着接合する。

出典:http://a-sin.biz/publics/index/40/

※溶剤融着は溶剤を使ってシートの表面を溶かして接着させること
※熱融着は熱風溶接機を使ってシートの表面を溶かして接着させること

シートのつなぎ目に接着不良があると雨水が簡単に侵入します。手抜きチェック!

7、接合末端部をシール
シール材を使ってシートのつなぎ目を保護します。

出典:http://a-sin.biz/publics/index/40/

シートのつなぎ目をシール材で処理することで接着部分を保護します。手抜きチェック!

8、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けと笠木の新設を行います。

出典:https://gaihekishinwa-suita.com/blog/8886.html

9、シート防水密着工法の完成
工事完了まで4日~7日ほど必要です。

出典:https://www.sails.tokyo/amamori/works/works_7560/

特徴:
シート防水の材質は塩ビとゴムの2種類がありますが、いずれも密着工法は単層防水のため施工期間が短く低コストが魅力です。

塩ビシートは紫外線に対し優れた耐久性持つ防水材で軽歩行OKのシートもあります。

ゴムシートは収縮性に優れていて、地震等の揺れに強い素材ですが鳥害による穴空きの心配があります。

施工箇所の向き・不向き:
空調設備や室外機などの架台が多く複雑な形状での施工には不向きです。

機械固定工法の施工手順

1、下地処理と確認
大きな凸凹は補修して平らにし、樹脂アンカーやビスの引き抜き試験を行い下地の強度を確認する。

2、絶縁用シートを敷く
シートにしわやヨレのないように敷きつめてジョイント部はテープで貼ります。

出典:https://www.ikedatosou.com/uretanbousui/

3、固定金具の取り付け
シートの割付や風荷重を考慮して固定金具を取り付ける。
※下地コンクリートにドリルで穴を開けて取付るため大きな音がします

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

事前に下地コンクリートの強度を測定します。強度が弱いと台風でシートが剥がれて飛ばされることもあります。手抜きチェック!

4、改修用ドレン設置
雨水を排出する部分なの慎重に取り付ける必要があります。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

5、シートの貼り付け
シートの歪みやたるみが出ないようにシートを固定金具に熱溶着または溶剤溶着する。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

6、シートの接合
接合幅は40mm以上で熱溶着または溶剤溶着する。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

7、接合末端部をシール
シール材を用いてすべての接合部分をシールする。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

8、脱気筒の取り付け
下地に含んだ水分は絶縁用シートを介して脱気筒から外に排出します。
※シートによっては脱気筒が不要なケースもあります

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

9、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けて笠木を新設します。

10、シート防水機械固定工法の完成
工事完了までにおおよそ5日~8日ほどの期間が必要です。

出典:https://www.eiken-kohgyo.jp/category/1634613.html

特徴:
固定ディスクを使って防水シートを下地に固定する工法です。

基本的には既存防水層を撤去せずに上から被せることができるので廃棄処理のコストや工期の短縮がはかれます。

雨漏りで下地に湿気を含んでいる場合でも施工可能です。

また下地の挙動にも強く万が一下地コンクリートがひび割れしても、防水層の破断に繋がりにくいのが特徴です。

施工箇所の向き・不向き:
密着工法同様に、架台が多く複雑な形状では施工が難しいです。

シート防水はメンテナンスフリー


シート防水には、「塩ビシート防水」「ゴムシート防水」の2種類があります。

中でも塩ビシート防水は、メンテナンスフリーで10年~15年と長持ちするため、マンション・ビルの屋上防水にはおすすめです。

建物の維持管理費用を節約することが可能です。

ちなみに、ゴムシート防水は5年~8年ごとにトップコートの塗り替えが必要です。

シート防水をするタイミングは?


シート防水の寿命は10年~15年程度ですが、次にあげる2つの現象が出た場合には、そのタイミングが近づいています。

防水層の膨れ

特に密着工法の場合、防水層の下に空気や水分が入り込んで膨れを起こすことがあります。

小さな膨れであればいいですが、膨れの程度が大きく広範囲になってくると防水層の破断のリスクが高まります。

防水層の破断

すでに破断が起こっている場合には雨水が建物内に侵入している可能性が高いので早急に補修する必要があります。

破断の程度が小さい場合には部分的な補修も可能ですが、広範囲に広がっている場合には全体の改修工事が必要です。

シート防水の工事業者の選び方は?


シート防水工事の業者選びは慎重に行わないと後で後悔することになります。

防水工事業者がおすすめ

シート防水の場合、専門的な知識と経験がないと施工できないため、基本的には「防水工事業者」に依頼するのがおすすめです。

防水工事業者の中でもシート防水の実績をしっかり確認して、安心してお任せできる業者を選びましょう。

1級防水施工技能士が在籍している業者がおすすめ

塩ビシート防水は、専門的な知識と経験がないと後で不具合が発生することがあります。

そのため、業者選びは慎重にする必要がありますが、何を基準にすればいいのか?迷ってしまいますよね。

そこで、業者選びの際に参考になるのが、シート防水の「1級防水施工技能士」が在籍している業者を選ぶことです。

1級防水施工技能士は、国家資格である技能検定の一種で、専門的な知識と技量を持っていないと取得できません。

まとめ

「シート防水の特徴」「シート防水のメリット・デメリット「シート防水の適正単価」をご紹介しました。
内容をまとめると、

・対応年数が長く、費用対効果が良い防水工法
・工期も短くメンテナンスフリー
・専門的な知識と経験を持った業者に依頼しないと失敗する

という3点がポイントでしたね。

当サイトでは、地域ごとに防水専門業者さんをまとめていますので、「都道府県ごとの業者一覧」もチェックしてみてください。

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