出典:https://mds.boo-log.com/e119854.html
「防水工事に足場は必用なの?」と疑問に思っている大家さんも多いですが、基本的には「屋上に上がることができれば」防水工事に足場は必要ありません。
というのも、マンションやビルの屋上は陸屋根と呼ばれる平らな形状のため、足場を作る必要がないからです。
そのため、階段を使って職人や防水工事に必要な工具・材料などを上げることができれば、足場を組む必要はありません。
●足場の種類と費用
●足場を節約する方法
この記事では、防水工事に足場が必要なケースや足場の種類、費用について解説しています。
もし、足場がどうしても必要な場合、足場を節約する方法についてもご紹介しているので、この記事を読んで「ご自身の物件にも使えるか」を確認しましょう。
防水工事に足場は必用?
冒頭でお伝えしましたように、屋上に上がることができれば、基本的には防水工事に足場は必要ありません。
しかし、屋上に上がる手段がない場合や外壁の補修をする場合には足場が必要です。
もう少し具体的に、足場が必要なケースをご紹介させていただきます。
【要確認】足場が必要な3つのケース
防水工事に足場が必要なケースは大きく3つあります。
・屋上に上がる手段がない(外階段の設置がない)ケース
・部屋から防水箇所に行けるが、部屋を通ってほしくないケース
・外壁の補修をするケース
それぞれについて詳しくご説明します。
【ケース1】屋上に上がる手段がない(外階段や内階段の設置がない)
5階以上の建物には、搭屋と呼ばれる階段室が設置されているケースが多く、階段を使って屋上に上がることができます。
また、建物に外階段の設置がある場合も屋上に上がれますね。
しかし、そういった屋上に上がる手段がない場合は足場が必要になります。
【ケース2】部屋から防水箇所に行けるが、部屋を通ってほしくない
一戸建てに多いケースですが、建物内の内階段を使えば屋上に上がれる場合でも、部屋に入ってほしくない場合は足場が必要です。
また、賃貸マンションでベランダ防水をする場合でも、入居者さんの部屋に入らずに防水工事をしたい場合には足場が必要です。
【ケース3】外壁の補修をする
外壁の補修が必要な場合や外壁塗装も一緒に行う場合は、足場が必要になります。
上記のようなケースを除いて、屋上に上がることができれば足場は必要ありません。
足場の種類と費用
防水工事に足場が必要な場合、どんな足場工事が必要なのか気になると思います。
そこで、一般的な足場工事に使われる4つの足場と費用についてご紹介させていただきます。
昇降足場
出典:https://shoei-ashiba.com/photo/album/914640/page/3
昇降足場は、防水工事で使われることが多い足場です。
基本的には、「職人の登り降り」や「材料の上げ下ろし」をスムーズにするための簡易的な足場になっています。
メリット
人が昇り降りできるスペースがあればいいので、設置費用や工期も最小限で済む。
デメリット
外壁補修や塗装など、広範囲の作業には適していない。
費用
例えば 5階建ての建物の場合、昇降足場の相場は約5万~10万になります。
仮設足場
仮設足場は、外壁塗装や外壁補修の際に設置される最もメジャーな足場で外壁全体に足場を設置します。
メリット
外壁全体に足場を設置することで、安全に無理なく外壁の補修をすることができる。
デメリット
建物全体に設置するため、日当たりや風通しが悪くなり、室内からの景観も損なわれますし、足場を利用して不審者が侵入する危険もあります。
また、足場の設置や解体に伴う騒音で近所からクレームが発生する恐れもあります。
費用
仮設足場の費用は、以下の計算方法で簡単に算出すことができます。
・足場にかかる費用=「(建物の外周+8m)×建物の高さ」×㎡単価(700~900円)
例えば、建坪60坪で5階建てのマンションの場合、
「(建物の外周56.4m+8m)×建物の高さ15m」×900円=869,400円
㎡単価を900円で計算すると、約87万円の足場代が必要です。
無足場工法
足場を設置しない無足場工法には、「ロープ」と「ゴンドラ」という2種類の方法があります。
メリット
・狭い箇所での作業や部分的な修繕が可能
・足場の設置が不要で費用を抑えることができる
・防犯面の不安が軽減される
・マンションの景観も保てる
デメリット
・屋上にロープやゴンドラを固定できない場合は使えない
・修繕箇所が広範囲になると適さない
・無足場工法ができる業者が少ない
高所作業車
出典:http://tosou-toyo.com/case_bldg025/
トラックなどの車両に、高所作業機能を持った機械を架装した車両で、足場として使うことができます。
メリット
高所作業車を停車させるだけで足場設置をすることが可能で、狭い範囲の作業には向いています。
デメリット
外壁塗装など、広範囲の作業が必要な場合、移動に時間がかかるため作業効率が悪くなります。
また、高所作業車やゴンドラが入り込めるスペースが必要となるため、狭い場所には向いていません。
防水工事だけやるなら昇降足場がおすすめ!
4つの足場をご紹介しましたが、防水工事だけやるなら昇降足場が一番コスパがよくておすすめです。
費用も比較的安く設置できるので、大きな負担になりません。
外壁塗装とセットでやれば足場の節約が可能
防水工事で足場が必要な場合、外壁塗装とセットでやれば足場費用を節約することができます。
もう少し詳しくご説明させていただきます。
外壁塗装と屋上防水を一緒にやるのもおすすめ
防水工事で足場が必要な場合、外壁塗装やタイル補修などもセットでやるのがおすすめです。
外壁塗装には仮設足場が必要なので、それぞれのタイミングで足場を組むとトータルコストが上がりますが、足場を組んだタイミングで全部やれば節約できます。
外壁塗装の塗替えのタイミングは、防水工事と同じ「10~15年に一度のタイミング」になるため、同じ時期にやれば、それ以降も同じタイミングで改修工事をすることが可能です。
足場の役割と必要性
防水工事で使う足場は、職人が屋上に昇り降りするための「昇降足場」ですが、外壁塗装や外壁補修、タイル補修などの改修工事で使う足場は「仮設足場」でしたね。
仮設足場の役割と必要性について詳しくご紹介させていただきます。
施工品質と作業効率の向上
足場は施工の品質を大きく左右するため、適切な足場を設置しないと適切な工事ができなかったり、仕上がりの品質が低下します。
適切な足場を設置することで、職人の安全を確保し、作業効率や施工品質の向上にも貢献しますし、工事期間の短縮にもつながります。
作業効率が上がれば工事費用を削減できますが、適切な足場の設置が行われない場合は、逆に工事期間が長引く結果になり、無駄な費用も掛かってしまいます。
安全を確保する
足場は職人が高所で安全に作業をするために必要です。
適切な足場があれば、高所での作業中に態勢をくずしたり、モノを落としそうになっても、すぐにリカバリーができ、人やモノの落下を未然に防ぎます。
改修工事は安全を第一に考えて事故やケガを未然に防ぐことが大切です。
近隣への配慮
足場には、職人の安全や作業効率の向上以外にも、近隣住民への配慮の役割もあります。
例えば、外壁塗装をする場合、足場の設置と合せて飛散防止シートを取り付けることで、近隣への塗料の飛散を防ぐことができます。
また、飛散防止シートは「外壁補修やタイル補修」などで、外壁に穴を開けたり、削ったりする場合にもタイルやコンクリートの破片、粉塵の飛散防止に効果を発揮します。
こうした近隣への配慮をすることは、施工期間中の近隣トラブルを未然に防ぎ、スムーズに作業を進めることができます。
法律で定められている
労働者安全衛生規則という法律で以下のように定められています。
(作業床の設置等)
第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。引用元:労働安全衛生規則
もう少し簡単にご説明しますと、
・高さが2メートル以上の個所で作業を行う場合で墜落の危険がある場合は、作業床を設ける
・作業床の設置が困難な時は、防綱を張り、労働者に墜落制止用器具を使用させ墜落防止に努める
という内容です。
防水工事の足場についてのQ&A
防水工事の足場についてのQ&Aをご紹介します。
ベランダ防水工事に足場は必要ですか?
屋内からベランダへの通路が確保出来る場合や外からハシゴや脚立を架けて作業ができるようでしたら足場は必要ありません。
上記が不可能な場合には、作業員が昇り降りする簡易足場が必要です。
3階屋上の防水工事に足場は設置しますか?
必ず足場が必要ではありませんが、資材の搬入や作業員の昇り降りの際には屋内を通らせていただく必要があります。
上記を避けたい場合には簡易足場を設置します。
まとめ
「屋上に上がる手段がない場合や外壁の補修をする場合には足場が必要」「防水工事は昇降足場を使う」という2点がポイントでしたね。
そのため、足場が必要な場合は、外壁塗装なども合せてやることで足場の費用を節約することができます。
この記事では、防水工事で使う昇降足場や外壁塗装などで使う仮設足場の費用もまとめたので、防水工事単独で行うか、外壁塗装も一緒にやるかを検討してみてください。
また、屋上に上がる手段がある場合、足場は必要ないので安心してください。