アスファルト防水は防水工事の中でも最も信頼性が高く、対応年数も長い工法です。
そんなアスファルト防水のメリット・デメリットを知りたい大家さんも多いはず。
● アスファルト防水の適正単価
● アスファルト防水の施工手順
この記事では、アスファルト防水の「メリット・デメリット」の他に、「適正価格」や「施工手順」について詳しく解説しています。
他の防水に比べ防水効果も高く対応年数も長いというメリットもありますが、当然デメリットもあります。
そのため、アスファルト防水で失敗しないためにもこの記事をチェックしてみてください。
アスファルト防水のメリット・デメリット
アスファルト防水の特徴とメリット・デメリットを解説します。
アスファルト防水とは?
アスファルト防水は、液状に溶かしたアスファルトを染み込ませたルーフィングシートを交互に貼り合わせていく工法です。
アスファルト防水には、「熱工法」「トーチ工法」「常温工法(冷工法)」に分かれています。
熱工法
熱工法とは、アスファルトの塊を現場に設置した溶解釜で220℃~270℃に溶解し、アスファルトルーフィングと呼ばれる防水シートを複数枚貼り付ける工法です。
日本の防水工事では100年以上の歴史があり、最も信頼性の高い工法です。
トーチ工法
トーチ工法とは、防水シートの裏面に張り付いているアスファルトを大型のバーナーを使ってあぶり溶かしながら張り合わせていく工法です。
熱工法のような溶解釜が必要ないので、独自の臭いや煙の発生、火災のリスクが軽減されます。
また、比較的狭い屋上でも施工が容易です。
常温工法(冷工法)
常温工法とは、改質アスファルトルーフィングという、常温で貼り付けることが可能な防水シートを交互に張り合わせていく工法です。
熱工法やトーチ工法のような火器を必要としないので臭いや煙の発生もなく、火災の心配もありません。
アスファルト防水のメリット・デメリット
アスファルト防水のメリット・デメリットをご紹介します。
アスファルト防水のメリット
1) 他の防水工法に比べ、最も信頼性が高い
他の防水工事には、「シート防水」「ウレタン防水」「FRP防水」がありますが、熱工法は最も信頼性があり対応年数が長い工法です。
2)狭い場所でも施工が可能
トーチ工法は大きな溶解窯を必要としないため、比較的狭い場所でも施工が可能です。
3)火器を使用しない工法なら熱や臭いの発生の心配もない
常温工法は火器類を使用しないため、熱や臭いの発生もなく安全性に優れている。
アスファルト防水のデメリット
1)熱工法は大掛かりな設備の設置が必要になる
熱工法は溶解窯の設置が必要になるため、狭い場所での施工はできない。
2) 熱工法は煙や臭いの発生や火災のリスクがある
溶解窯でアスファルトを溶解する際に220℃~270℃と高温になるため、煙や臭いの発生はもちろん、火災のリスクもある。
3)熟練した技術が必要
アスファルト防水は、熱工法の温度管理やトーチ工法のアスファルトの溶け具合など、施工時の管理が難しい。
そのため、熟練した技術を持つ施工業者に依頼する必要がある。
アスファルト防水の適正単価と施工手順
アスファルト防水の適正単価と施工手順を解説します。
アスファルト防水の適正単価
アスファルト防水には、「熱工法」「トーチ工法」「常温工法(冷工法)」があります。
適正単価は、
工法 | 単価(1㎡あたり) |
熱工法 | 7000円~8500円 |
トーチ工法 | 6000円~7500円 |
常温工法 | 5500円~7000円 |
となります。
アスファルト防水の施工手順
アスファルト防水の施工手順を解説します。
熱工法の施工手順
1、下地清掃
下地の汚れやゴミを取り除く。
2、下地処理
不陸調整などの下地処理をする。
3、改修用ドレンの設置
改修用ドレンの設置を行う。
4、プライマー(接着剤)塗布
下地乾燥後にプライマーを刷毛で塗布する。
出典:http://itec-k.co.jp/services/as
5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がり部にアスファルトルーフィングシート貼り付け
出典:http://nihonbousui.co.jp/contents001/
6、アスファルトルーフィングシート貼り付け
アスファルトルーフィングシートに溶融したアスファルトを流しながら張り合わせます。
※角やコーナーは強度を高めるために増し張りします
7、アスファルト塗り
溶融したアスファルトをシートに塗り付けます。
出典:http://nihonbousui.co.jp/contents001/
8、アスファルト防水熱法の完成
工事完了までに8日~12日ほどかかります。
特徴:
アスファルト防水の熱工法は、加熱して溶融したアスファルトを使ってアスファルトルーフィングシートを2~4枚積層することで、丈夫で水密性に優れた強固な防水層を作る工法です。
ただし、アスファルトを溶融する際に、220度~270度の高温で加熱するため、煙やにおいの問題や作業員のやけどや火災のリスクもあるため、防水工事の改修工事ではあまり使われない工法です。
施工箇所の向き・不向き:
アスファルトを溶融するときに臭いや煙が発生するため、密集している場所には不向きです。
トーチ工法の施工手順
1、下地清掃
下地をきれいに清掃してゴミなどを取り除く。
2、下地処理
不陸調整を行い平らに整える。
3、改修用ドレンの設置
防水層にたまった雨水を排水する部分なので慎重に設置します。
4、プライマー(接着剤)塗布
十分に乾燥させてからローラー刷毛や手刷毛でプライマーを塗布する。
出典:https://bousui-association.jp/example7/
5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がりと上端部へシートを貼り付けます。
出典:https://bousui-association.jp/example7/
6、アスファルトシートの貼り付け
トーチバーナーでシート裏面と下地をあぶり、アスファルトを溶解させ張り合わせます。
※角やコーナーは強度を高めるために増し張りします
出典:https://bousui-association.jp/example7/
7、トップコートの塗布
防水層を紫外線や雨風から守るためにトップコートを塗布します。
出典:https://bousui-association.jp/example7/
8、アスファルト防水トーチ工法の完成
工事完了までに7日~10日ほどかかります。
出典:http://polymer-kogyo.jp/publics/index/76/
特徴:
アスファルトを染み込ませたアスファルトルーフィングシート裏面をトーチバーナーであぶり溶かして下地と接着させる工法です。
シート同士を隙間なく接着することができるので防水性も高く、衝撃にも強いため長期間防水層を維持することが可能です。
施工箇所の向き・不向き:
複雑な場所や架台の多い場所への施工には向いていません。
常温工法(冷工法)の施工手順
1、下地清掃
下地に残ったゴミを取り除き清掃する。
2、下地処理
勾配をなくして平らにする。
3、改修用ドレンの設置
雨水を排出する改修用ドレンを設置する。
4、プライマー(接着剤)塗布
シートの密着を高めるために乾燥後にプライマーを塗布する。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
5、パラペット立ち上がりにシートの貼り付け
パラペット立ち上がり部に改質アスファルトシートを貼り付けます。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
6、改質アスファルトシートの貼り付け
自着層(剥離紙を剥がすことで下地に密着させるもの)を剥がして下地に貼り付けます。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
7、シートの繋ぎ目をシール
シートの貼り合わせ部分をシール材で充填します。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
8、トップコートの塗布
防水層の保護目的としてトップコートを塗ります。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
9、アスファルト防水常温工法の完成
工事完了までに5日~7日ほどかかります。
出典:https://suzukikogyo.co.jp/blog/2018/0912041351/11621.html
特徴:
ルーフィングシートに自着層を持たせることで剥離紙を剥がすだけで下地に密着させることができるため、熱を使わなくても防水層を形成することが可能です。
施工箇所の向き・不向き:
トーチ工法と同様に、複雑な場所や架台の多い場所は避けた方が良いでしょう。
まとめ
「アスファルト防水のメリット・デメリット」「アスファルト防水の適正単価」「アスファルト防水の施工手順」をご紹介しました。
内容をまとめると、
・他の防水工法に比べ、最も信頼が高く長持ちする
・施工には熟練した技術が必要なので業者選びは慎重にする
・常温工法なら火器の仕様が必要ないため煙や臭いの心配もない
という3点がポイントでしたね。
当サイトでは、地域ごとに防水専門業者さんをまとめていますので、「都道府県ごとの業者一覧」もチェックしてみてください。
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